一目均衡表の重要度:A(知っておくと役立つ)

一目均衡表とは

一目均衡表とは、株や為替などの今後の値動きを予想するために使われるグラフです。発祥が日本人という珍しい指標で、海外でもIchomokuと呼ばれています。

一目均衡表の最大の特徴は、過去だけでなく未来の部分にも指標が描かれることです。将来どのように値動きするかを検討する際に役立ちます。

一目均衡表の仕組み

一目均衡表は、通常の値動きのグラフの上に5つの線と「雲」を描写します。

日経平均の上に一目均衡表を表示した図
▲日経平均の上に一目均衡表を表示した図

一目均衡表は「基準線」「転換線」「先行スパン1」「先行スパン2」「遅行スパン」「雲」で構成されています。まずはこれらの指標の意味を順番に見てみましょう。(各指標の詳しい意味は後述しますが、面倒な人は雲だけ把握しましょう)

基準線

過去26日間の最高値と最安値の中間値を結んだ線です。

基準線は、基本的な相場の方向性を示す線です。上向きの時は強気・上昇相場、下向きの時は弱気・下落相場であると考えられます。

転換線

過去9日間の最高値と最安値の中間値を結んだ線です。

転換線は、基準線との位置関係が重要です。転換線が基準線よりも上にある時は買い時であると考えられます。過去26日の平均より過去9日の平均の方が高いということは、最近株価が上がったからです。

一目均衡表の基準線と転換線
▲一目均衡表の基準線と転換線

遅行スパン

各日の終値を26日ぶん過去にずらした線。普通の株価チャートの上に、26日前の株価をグラフで書いたものが遅行スパンです。単純に、現在の株価と26日前の終値のどちらが高いか・安いかを見ることができます。

一目均衡表の遅行スパン
▲一目均衡表の遅行スパン

先行スパンと雲

「先行スパン1」は、基準線と転換線の中間値を取って、26日分未来へずらした線です。

「先行スパン2」は、過去52日分の高値と安値の中間値を結んで、26日分未来へずらした線です。

そして、先行スパン1と先行スパン2の間の面積が「雲」と呼ばれる部分です。一目均衡表の中でもとくに有名で、重要なのが雲です。一目均衡表のすべての指標を見ずに雲だけを見るという人もいます。

▲一目均衡表の先行スパンと雲
▲一目均衡表の先行スパンと雲

現在の株価が雲より上にいる時は、雲に突入すると上にはね返される傾向があります。逆に株価が雲より下にいる時は、雲に突入すると下にはね返される傾向があります。つまり、雲は株価の移動を邪魔する存在と考えられています。

雲は場所によって厚さが異なります。雲が薄い部分は株価が雲を横切りやすく、雲の下にいたところから雲の上に抜けやすくなっています(上から下にも抜けやすくなっています)。つまり雲が厚い時はトレンドが維持されやすく、雲が薄い時はトレンドが転換しやすいということになります。

一目均衡表で雲の薄い部分をチャートが突き抜けていく例
▲雲の薄い部分をチャートが突き抜けていく例(拡大図)

雲の色は、先行スパン1が上にある場合と先行スパン2が上にある場合で別の色で塗る場合が多いですが、色による違いは特になく、どちらの場合も雲として機能します。強いて色の意味を考えるならば、先行スパン1は26日前の株価、先行スパン2は52日前の株価ですので、先行スパン1の方が現在の株価に近いものとなることが多いです。そのため、上昇相場では雲の上が先行スパン1、雲の下が先行スパン2となります。下落相場では雲の上が先行スパン2、雲の下が先行スパン1となることが多いです。

雲以外の一目均衡表の見方

雲の説明が出来たら一目均衡表の説明は90%くらい完了したようなものですが、一応それ以外の各指標の見方も以下に説明します。

基準線と転換線の位置関係

基準線は過去26日の最高値と最安値の中央値。転換線は過去9日の最高値と最安値の中央値でした。転換線のほうが最近のトレンドを示しているため、転換線が基準線より上にある時は上昇トレンド、下にあるときは下降トレンドです。

つまり、基準線と転換線が交差して上下が入れ代わる時は、トレンドが変わる時です。

基準線と転換線が交差する時に株価が大きく動く
▲基準線と転換線が交差する時に株価が大きく動く

転換線が基準線の下から上に抜けた時は、買いのチャンスとなります。逆に、転換線が基準線の上から下に抜けた時は、売り時の目安となります。

但し一般的には、トレンドの転換は基準線と転換線の交差で見ることより、長期・短期2種類の移動平均線の交差など別の指標でみられることが多いです。

遅行スパンと実際の価格の位置関係

遅行スパンは26日前の終値なので、遅行スパンが実際の株価より上にある時は、現在の株価が安いことを表します。この時、他のシグナルが買いを示しているのに株価が遅行スパンより下にある場合は、お買い得であると言えます。

一目均衡表では、「雲を下から上に抜ける」「転換線が基準線を上に抜ける」「現在の株価が遅行スパンを上から下に抜ける」の3つを達成した時が「三役好転」と呼ばれ、最大の買いサインとなります。

一目均衡表を使う上での注意点

本来は「9日」「26日」といった期間の統計値が使われますので、一目均衡表は数か月前後の期間でのトレードに適した指標です。但しツールによっては自分で期間を設定できたり、時間足で一目均衡表を適用すると自動的に「9時間」「26時間」といった期間に直して一目均衡表が作られることがあります。

一目均衡表で1分足に「26分」「52分」のデータで雲を描いた例
▲1分足に「26分」「52分」のデータで雲を描いた例

期間が変われば、雲などの形状も全く変わります。期間を変える場合は特に、その一目均衡表がこれまでの過去の価格推移においてちゃんと機能しているかどうかを自分の目で確認してから、使用するかどうか決めると良いでしょう。