共学の中学では女子の方が頭が良いという誤解

最初にこの記事のまとめ

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  • 四谷大塚は男女別々に偏差値を出すので、同じ点数を取った男の子と女の子では女の子の方が偏差値が高くなる
  • 一部の学校(慶応中等部)では男女で定員数が違っており、女子の定員数が少ない学校では女の子の方が高い偏差値が必要になる
  • 一部の学校(渋渋)では男子ばかり繰り上げ当選が多発し、男の子の方が低い偏差値でも繰り上げで合格できる

共学の中学では女子の方が頭が良いという誤解

共学では女子の方が頭が良いという誤解があるようです。

四谷大塚の偏差値表を見てみると・・・

  • 渋幕(1回目)…男子70 女子72
  • 広尾(1午後)…男子62 女子65
  • 東京農大第一…男子60 女子62

ほんとだ、女子の方が偏差値が高い!

そうか、共学には女子の方が頭がいい子が入ってるのかーー!

 

 

実はそうじゃないんですよ

女子の方が偏差値が高い理由の解説

これらの学校の入試では、男女関係なく点数の高い子から順に合格になります。

だから、女子は210点の子が落ちたけど男子は200点の子が受かった、みたいなことは起こりません。

女子の方が頭が良い子が入ってくるわけではないのです。

 

ではどうして女子の方が偏差値が高いのか?

四谷の偏差値は男女別

四谷大塚では、男子と女子で分けて成績を集計しています

で、男子の方が平均点が高くなります。これは僕自身が受験した時からずっと変わらないですね。

ということですので、同じテストでも男子の平均点は200点、女子の平均点は190点、みたいな感じになります。

そうなると、例えば男子で200点を取った子は、男子の平均点と同じ点数なので偏差値は50になりますね。

ですが、女子で200点を取った子は、女子の平均(190点)より点数が高いので、偏差値は52とか、まあ50より高い偏差値になるのです。

同じ200点なのに、男子と女子で偏差値が違うんですね!

300点くらいの高得点を取った子でも同じ話。男子だと偏差値70だけど、同じ点数の女子は偏差値72になったりするわけです。

だから、渋幕の偏差値は男子が70で女子が72という風に、合格に必要な点数は同じなのに女子の方が高偏差値になるのです。

再掲

  • 渋幕(1回目)…男子70 女子72
  • 広尾(1午後)…男子62 女子65
  • 東京農大第一…男子60 女子62

偏差値が男女別なのは四谷だけ

ちなみに男女で別々に集計しているのは、大手では四谷大塚だけ。

サピックス、日能研、首都模試センターはいずれも男女まとめて偏差値を算出するので、共学の偏差値は男女で同じになります。

共学の中学で女子の方が頭が良い例外

さて、ここまでは、男女で合格を分けていない場合の話をしました。

しかし男女で合格者数を分けて決めている中学ではこの限りではありません。

例えば慶応中等部では、最初から合格者数を男子約140人、女子約50人と決めています。そのため、例えば女子の競争倍率が高まれば、必要偏差値も女子だけ上がります。その結果、女子の方が頭がいい子が入学してくる可能性があります。

実際、慶応中等部の男子偏差値は64、女子偏差値は70と、前述の3校と比べて大きな差が出ています。これは明らかに女子の方が高得点が必要になっています。

前述の渋幕、広尾などでは入学者数を男女で分けていません、そのため、女子の競争倍率が高まれば、点数の高い女子がたくさん受験するので合格最低点が上がり、そのぶん点数の低い男子が落ちます。男子も頭の良い子だけが入ってくるので、女の子だけ頭がいい子が入ってくるということにはならないわけですね。

追記:例外について

渋渋では男子の方が合格者の辞退数が多いため、男子の方が合格者数を多めに採っているようです。

そのため、学校側は基本的には成績順で合格者を決定していると書いていますが・・・

参考:よくいただくご質問(渋谷教育学園渋谷中学高等学校)

 

実際は、男子の方が合格最低点が低くなっています!

参考:合格最低点一覧(首都圏模試)

この資料を見ると、男女で最低点が一緒か別かが分かり、別の場合は男女どちらが成績優秀な子が入ってきているかかも分かります。(男子の方が点数が高い学校もあります)

男女の偏差値の見分け方と活用方法

四谷大塚は男女で偏差値を別に出しているので、偏差値表も男子版と女子版で比較ができません。四谷大塚以外の偏差値表を使いましょう!

SAPIX、日能研、首都模試センターの偏差値表を見れば、男女で偏差値が違う学校は、学校側が男女比を考慮して合格者を決めているということです。

男子の方が偏差値が高いのは男子に人気の学校で、男子の方が頭がいい子が入ってくるでしょう。逆に女子の方が偏差値が高いのは女子に人気の学校で、女子の方が頭がいい子が入ってくるでしょう。

よりハイレベルな環境で学びたい場合は、自分の性別より異性の方が偏差値が高い共学を目指す、という選択肢も場合によってはあるのかもしれませんね。

コメント

  1. 勉強になりました!
    なんとなくしか理解してなかったのですが、本当にわかりやすく教えてくださりありがとうございます!

    ち…ちなみに、早稲アカのチャレンジテストなどの偏差値は男女別ではない…で合ってますでしょうか?

    • >Graceさん
      コメントありがとうございます!
      軽く調べてみましたが、男女別ではなさそうです。男女別の場合は、男女別の平均点や順位など、なにかしら男女で分けたデータがあるはずです。(ちなみに四谷大塚の場合だと、一部のテストでは男女で問題が違うらしいです)

      • ご丁寧にありがとうございました!
        これからもブログ楽しみにしています。
        m(_ _ )m

  2. 渋渋は男女別に合格最低点を公表してます。
    2019年入試合格最低点 
    1回男子188点・女子199点
    2回男子187点・女子193点
    3回男子215点・女子214点
    女子の方が難しそうですけど。

    • >匿名さん
      ご指摘ありがとうございます!
      それはもしや渋渋の公式発表ではなく、どこかの塾(多分四谷大塚)における合格最低点ではないでしょうか?四谷に通ってる子の中での最低点が書かれているだけなのかなと予想しています。

      というのも、渋渋の公式サイトでは以下のように書かれています。
      >基本的には成績順で男女比を考えずに合格者を決定します。
      >ただし、合格者の男女比バランスが7対3、8対2などの場合、男女の合否ラインに差をつけることもあります。

      2019年は第2回以外は男女比は7対3以上になっていないので、男女の合格最低点は同じだと思います(第2回は補正されてそうですね)。渋々が公式に男女の合格最低点を出していたら訂正しますのでぜひ教えてください!

  3. https://www.syutoken-mosi.co.jp/common/pdf/nyushi_joho/nyushi_yoko_kekka/2018saiteiten.pdf
    ここで、首都模試がまとめている「各中学校公表による」合格採点一覧が
    見られます。これは2016年から3年分ですが、いずれも渋渋は女子の方が
    最低点が高いです。

    • >匿名さん
      ありがとうございます!
      表だけ見ると不思議な感じでしたが、男子の方が合格者の入学辞退が多いため、男子の合格点を下げて多めに採ってるみたいですね!
      ということで本文も訂正しました!