都立高校の内申点、思ったより影響低いのでは

都立高校の内申点制度

中学受験を検討するご家庭の中には、高校受験の内申点制度が嫌だという理由を挙げる人が結構います。

内申点というのは要するに通知表のことです。1から5までの5段階評価(一番良いのが5)です。都立高校を受験する場合、本番のテストに内申点の点数も加点されます。

 

都立高校の内申点については、

「都立高校の受験は内申点の影響が大きいのに、内申点が先生の一存で決まる」

とか、

「テストの点数が良くても理不尽な理由で内申点を下げられて志望校に合格できないことがある」

みたいなことが言われます。

しかし本当にそのようなことで高校進学の道が閉ざされたりするのでしょうか?

そこで今回は、内申点が実際どれだけ本番試験の点数に影響するのかを、ちゃんと調べてみることにしました。

いきなり結論

今回計算した内容を書いても多分みんな読まずに去っていくと思うので、最初に結論です。

内申点の1点は、本番の筆記テストの3.3点分に該当します。

但し技術・美術・体育・音楽は6.6点分です。

 

なお本番のテストは英数国理社100点ずつの合計500点です。

 

たとえば英語の内申点で、「テストは満点だったけど授業中に英語を読む時に声が小さかったから5ではなく4を付けた」とかいう理不尽なことをやられた場合、本番のテストで3.3点分引かれたのと同じことになります。

 

皆さんはどう思われますか?

確かに変な理由で内申点を下げられるのは嫌ですが、500点満点のテストに対して内申点1点の影響は3.3点というのはイメージしていたのより全然小さいな、という印象です。

もっと、評価が1下がるだけでトップ校の合格は絶望的になる、くらいの感じで言ってる人をあちこちで見かけたと思うのですが…。

 

多分、正しい計算式を理解していない人も多いのではと思います。

(評価の付け方に不透明感や理不尽さがあると嫌だという気持ちはわかります。)

では、次から楽しい楽しい算数です。私は知っています、大体の人がここから下を読みません。

都立高校の内申点の計算方法

配点

都立高校の配点は、推薦と一般で違います。今回は一般入試を挙げます。(日比谷高校の事例から計算しました。多分どの都立高校も同じだとは思いますが)

(1)一般入試は1000点満点

1000点満点のうち、本番のテストが700点、内申点が300点です。

(2)本番のテスト500点

本番のテストは500点満点で、英数国理社が100点ずつです。

この結果に1.4倍して、700点満点に換算をします。

この「換算」という手法、個人的には国立大学がセンター試験で使ってるのですんなり理解できましたが、初見だと分かりにくいかも。

たとえば英語80点、数学60点、国語70点、理科90点、社会80点で合計380点だったら、

500点中380点ですから、700点中だったら何点になるか?
\[
x = 380×\frac{700}{500}\\
= 380×1.4\\
= 532\\
\]
ということで、500点中380点取った子は、700点満点では532点となります。

本番で取った点数が、

\\frac{700}{500}\\

倍されるわけですね。

(3)内申点の300点

内申点は、要するに学校の通知表の1~5の数字のこと。
英語、数学、国語、理科、社会、技術、美術、体育、音楽の9科目があります。

で、実は技術、美術、体育、音楽の4科目は2倍されます。
例えば英語5、数学5、国語5、理科5、社会5、技術4、美術4、体育4、音楽4の場合、内申点の合計は
$$5×5+4×4×2=57点$$
となります。

ちなみに満点は、全部5の時ですから65点です。

65点中57点の子は、300点中だったら何点になるか?
\[
x = 57×\frac{300}{65}\\
≒ 263\\
\]
ということで、内申点が57点だった子は、300点満点では約263点となります。

内申点は、

\\frac{300}{65}\\

倍されるわけですね。(約4.6倍)

まとめ

本番の筆記テストは500点が700点になりますから、本番の筆記テスト1点は1000点満点の1.4点に該当します(700÷500)。

そして内申点は65点が300点になりますから、内申点1点は1000点満点の約4.6点に該当します(300÷65)。

以上より、内申点の1点は本番の筆記テスト何点分に該当するかというと、

\[
\frac{300}{65} ÷\frac{700}{500}\\
≒3.3点
\]
となります。

最後の計算式の意味、分かりましたか?

算数って大事ですね。

コメント

  1. 特に副科目は、定期テストで100点でも「3」があり得る世界です。
    学力や能力が高いから「5」というものではありません。
    で、似通った学力のひとたちが受験するので、合格のボーダーあたりに人数が集中していて、その数点が大切なのではないでしょうか。
    それに、学力に自信があっても、内申点が低ければ受験させてもらえないこともありえますし、公立には理不尽な先生もいます。

    • >TTOさん
      確かに、英数国理社以外の4科目も見られるというのは大きな違いですよね。
      合格点以外にも気を使う場所が色々あるのですねー。
      コメントありがとうございます!

  2. はじめまして。内申は学力だけでなく、遅刻欠席も含まれますよね。点数化は教科だけで、欠席、遅刻などは点数とはまた違った評定になるのか、ご存知だったら教えていただけると助かります。
    子供に持病があり、通院で遅刻もあるし悪化すれば1ヶ月に及ぶ入院生活をすることもあります。
    公立中学卒業後の進学、親は学年遅れで良いと思っていますが、本人が遅れたくないとのことで、学習意欲もあるため病気でも進学しやすい中高一貫校への受験を考えています。
    区の教育委員に確認すると、各中学校へ問い合わせてくださいと言われ、中学校でも回答難しいようです。

    長くなりましたが、このような背景があり、公立中学校から高校進学時の内申について、情報を集めております。何かご存知のことがあれば、参考にさせていただきたく存じます。

    • >enrikaさん
      僕はあまり詳しくないですが…。
      遅刻欠席が多いせいで通知表の各教科の評点を下げられてしまう可能性はあるかもしれませんが、遅刻が単独で点数になることはないです。
      ただ面接などによって合格点に達している子が落とされるかもと思ったら心配ですよね。
      毎年秋に「都立高校合同説明会」が開催され、個別相談ができるようなので、
      そこで入りたい高校に詳しく状況を伝えて、直接聞いてしまうのが良い気がします。
      良い学校が見つかることをお祈りしております。