7月17日

日経平均もダウも大崩れしましたね。円高も進むし。
といっても、日本経済そのものが今後大惨事になると考えている人は少ないようです。 

僕が日本株から手を引いた理由の1つに、株というものに対する不信感があります。
きっかけはみずほ銀行でした。


そもそも株価というのはどうやって決まるかというと、様々な要因が総合的に勘案された結果としてぼんやりと決まっていきます。中でも、「PER」(1株あたりの利益)が大きな要因になります。 

例えば年間100億円儲けているA社を考えてみます。
(以下は単純な例として様々な要因を省略しています。投資の参考にしないで下さい) 

この会社が1億個の株を発行している場合、「1株あたり100円儲けている」という考え方ができます。この「1株あたり」という考え方が重要です。
「1株あたりいくら儲かるか」と実際の株価の比を「PER」と言います。例えばA社の株価が1800円だったら、1800÷100=18で「PERは18倍である」という言い方をします。
株価が上がるとPERが上がる。ということは逆にPERが低ければお買い得。
同業他社のPERが20倍だったら、A社は割安と考えられます。 

ここまでが株価の決まり方の仕組み。


ところが最近A社は、突然株の数を増やしました。
新たにもう1億株を発行して販売。そうするとどうなるか。 

まず、PERの例を見てみましょう。前までは
「100億円の利益に対して1億株を発行していたので1株当たり儲けは100円。株価1800円だったらPER18倍」でした。
これが突然株の数が2倍の2億株になると、こうなります。
「100億円の利益に対して2億株を発行していたので1株当たり儲けは50円。株価1800円だったらPER36倍」。
このご時世で36倍は高すぎます。そんな高い株を欲しがる人はいませんから、株価はドンドン下がります。結果、PERは36倍から元の18倍に近づいていきます。
PERが18倍になると、こうなります。
「100億円の利益に対して2億株を発行していたので1株当たり儲けは50円。株価900円だったらPER18倍」。
なんと株価が900円に下がってしまいました。 

この1800円→900円の過程で何が起きたのか。
(1)株を持っていた人たちは持っていた株の株価が半減してしまいました。
(2)いっぽう、A社は新たに1億株を発行し、その1億株を買った人たちから1億株×900円=900億円を手に入れました。 

株主涙目。A社ウハウハ。


断って置きますと、通常の「株式増発」はこういう形ではないのです。
「これこれこういう目的で株式を増発します」というものがあるんです。
例えば「新たにもう1億株発行するが、それによって手に入る900億円で新事業を開始します。新事業により見込まれる利益は年間200億円」のような。 

「100億円の利益に対して1億株を発行していたので1株当たり儲けは100円。株価1800円だったらPER18倍」の例で言えば、株式増発の結果は
「今後は合計300億円の利益に対して2億株を発行している形になるので1株当たり儲けは150円。株価1800円だったらPER12倍」となります。
この例では、むしろPERが下がりましたね。当然、PERが18倍に近づくように株価が上がっていきます(PER18倍で株価2700円)。このように、増発の理由としてすばらしいお金の使い先が提示されれば、株価は逆に上がることだってあるんです。 

ところが今回のみずほ銀行の増資理由は「財務基盤強化のため」。
この増資で儲けますというものではなく、このままだと潰れちゃうので増資しますという、きわめて後ろ向きな増発なのです。
しかも今回でもう3回目。株式量は当初の1.9倍になったそうなので、もう昔と同じだけ稼げる状態に戻っても、株価は1/1.9倍にしか戻りません。 

それはタブーなんじゃないのか。こんなことをされて、株を買う人はいるのか。 

この件に限らず、最近株の世界のモラルがやばいです。粉飾決算とか。
だから僕は債権とか豪ドルとか、他の道を探しているわけです。
長い割に内容の薄い日記ですが、そういうことです。

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