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算数オリンピック・キッズBEEは中学受験に役立つ?意味ない?

算数オリンピック・キッズBEEは中学受験に有利なのか?入賞経験のある子を持つ親の目線で考察します。

目次

ポイント 算オリは子供たちにとって非常に魅力的であり、算数が好きな子を伸ばすには絶好の機会です。ただし「必要性」「優先度」は人によると考えています。その辺の背景を含め私見を書きました。
筆者は算数オリンピックの出場者(ファイナリスト)で、子供も入賞を経験しています。毎年算オリ終了後に解答速報を出したり、問題研究もしています。

算数オリンピック/キッズBEEとは

算数オリンピック(算オリ)は、事実上の算数日本一を決める大会です。学年別に下記の5つの部門があり、毎年1回開催されています。

部門対象学年
算数オリンピック小6以下
ジュニア算数オリンピック小5以下
キッズBEE小3以下
広中杯中2以下
ジュニア広中杯中3以下

それぞれの部門でまずは6月にトライアル大会(予選)が開催され、成績上位者が7月のファイナル大会(決勝)に進みます。 すべて同じ日に開催されるので、1つの部門しか受けられません。基本的に小6は算オリ、小4・小5はジュニア算オリ、小3以下はキッズBEEを受けます。

算数オリンピックは小学生に人気が高く、毎年多くの参加者が実力を競っています。

算数オリンピック(算オリ)のメリット・デメリット

【メリット】
  • 思考力・発想力が鍛えられる
  • → 中学受験の算数では、単なる計算力だけでなく「ひらめき」や「柔軟な発想」が求められる問題が多い。算数オリンピックの問題に取り組むことで、そうした力を養うことができます。
  • 試行錯誤する力が養われる
  • → 典型題が少ないため、1問1問ごとに毎回頭を使うことになる。難問に対して様々なアプローチを試しながら解決する経験を積むことができます。
  • 算オリを目標にすると子供がやる気をもって主体的に取り組める
【デメリット】
  • 公式問題集の解説があまり親切ではないため独学が難しく、ジュニア算オリ以降は親でも教えられる人は少ない
  • 中学受験算数とは問題の内容が異なるため、中学受験算数の得点を上げる方法としては効率が悪い
  • 難しすぎて解けない問題がたまにあるので、適切な難度の問題を選ばないと無駄な時間を過ごすことになったり、子供が算数を嫌いになってしまう可能性がある
  • 典型題が少ないので、基礎の定着には向かない。同じ問題を繰り返して解くことで解き方を覚えるタイプの子には不向き。

算オリと中学受験の問題の違い

中学受験算数では典型的な問題を短い時間で解く訓練が行われますが、算オリは初めて見る問題を時間をかけて解くコンセプトになっています。

問題の内容に関しては、例えば中学受験におけるつるかめ算、旅人算、ニュートン算といったいわゆる特殊算だけで解けるような問題は、算オリにはほとんど出ません。

逆に算オリで頻出の「同じものを集めて他の図形にする問題」も、中学受験ではほとんど見られません。

算オリと中学受験の関係

中学受験では算数は特に重要な科目であり、算数が強いと中学受験で有利なのは間違いありません。

しかし、算オリの問題は中学受験算数とはかなり異なっているため、算オリが中学受験の勝利への近道というわけではありません。

キッズBEEの場合は、まだ小1~小3では中学受験塾が本格的に始まっていないので時間的余裕がありますし、 キッズBEEの問題を通して柔軟な頭を育てることには価値があると思います。

しかし4年生以降になると、中学受験塾では中学受験算数を習い始めます。算オリと受験勉強では、学年を追うごとに問題傾向が離れていき、「算オリのための勉強」と「中学受験塾の勉強」は全く別のものになっていきます。

また、学年が上がるにつれて塾の宿題やテスト対策が忙しくなり、両方を対策することが難しくなっていきます。算数が好きな子や、基本が出来ている子がさらに経験を上積みする形で算オリに挑むのは良いですが、そうでなければ塾の毎週のカリキュラムを確実にこなすのを優先した方が良いケースも多いでしょう。

ポイント 但し、一部の学校では算オリの類似問題を入試で出したり、逆に入試の類似問題が算オリで出たことがあります。こういった学校を受ける場合は、算オリに挑むことで対策をする効果はありそうです。なお個人的な印象としては、女子校では算オリに似た問題はほとんど出ず、いっぽう関西では図形問題を中心に算オリと出題傾向が似ている学校がある、といった感じです。

筆者の考え:算オリ/キッズBEEは中学受験で役立つ?意味ない?

算オリは、中学受験の算数とは異なる側面を持ちながらも、思考力・発想力を鍛える上で大きなメリットがあります。特に、難問に挑戦する経験を積むことで、柔軟な思考や試行錯誤の習慣が身につき、受験算数の応用問題にも活かせる場面が多いでしょう。

低学年のうちはキッズBEEに積極的に参加することで、算数好きな子の思考力が大きく伸びたり、算数がもっと好きな子になる可能性があります。

しかし、算オリに挑むことがすべての受験生にとって最適とは限りません。算オリの問題は一般的な受験問題とは出題傾向が異なるため、受験対策とのバランスを考えることが重要です。また、高学年になると塾の学習負担が増えるため、どの時期にどの程度取り組むかを見極める必要があります。

ポイント 目安としては、例えば四谷偏差値65以上、SAPIX偏差値60以上くらいから特に効果が高い、というイメージです。

「算数が好きで、難問にワクワクできる子」にとっては、算オリへの挑戦が中学受験にもプラスに働く可能性が高いでしょう。一方で、苦手意識を持ってしまうリスクもあるため、無理に取り組むのではなく、子どもの性格や志望校の傾向も踏まえて活用することが重要です。

ポイント ちなみに本稿は「中学受験にとって算オリはどうか」という視点で書きましたが、筆者自身は中学受験を目標やゴールとは考えておらず、典型題を繰り返し訓練する中学受験算数偏重の教育にはあまり賛成ではありません。受験算数の全てが悪ではありませんが、競技算数、パズル、遊びの中の算数、あるいは数学範囲・・・と様々な選択肢を上手に使っていくのが良いと思っています。

算数オリンピックやキッズBEEの具体的な対策については、また別の所で書きたいと思います。

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