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1:基礎知識編


1.1:リアルタイムアタックとは?


 まず最初に、リアルタイムアタックというものについて説明しておきます。
 RPGの「スピードクリア」とか「タイムアタック」とか呼ばれるプレイは、 通常はゲーム内でのカウンター(時計)により計測した時間を競い合うのが主流です。 しかし実はその裏では、「次のセーブポイントまでにザコ敵が1回でも出たらリセット」とか 「1/128の確率で起こる出来事が運良く起こるまでリセットの繰り返し」などという 不毛な単純作業を多くこなす必要が出てきます。時としてその結果、 普通にプレイする以上の時間を費やすことにもなるのです。
 そうではなくて、実際にかかった時間の短さを競うのがこのプレイ、 通称「リアルタイムアタック」(略してRTA)です。プレイヤーがゲーム機の電源を入れてから クリアするまでの時間を測定することで、真の短時間クリアを目指します。
 ちなみにリセットありの通常のDQ7タイムアタックでは、僕の記録は13時間30分(ラスボス撃破時点)で、 こちらも現在知る限りでは世界最速記録となっています(週刊誌「ファミ通」さんの「やりこみ大賞」で取り上げられた最短記録はラスボス撃破前で23時間55分でした)。クリアまでの合計リセット回数は約2000回、 所要時間は1ヵ月半でした。



1.2:基本的な方針


 このプレイの目的は、言うまでもなく「実際にかかる時間の短さを極める」ということにあります。 普通にプレイすれば100時間かかると言われているこのゲームを1日でクリアするためには、 事前に緻密な計画が必要になります。具体的には、 以下のようなことをプレイ前に良く考えておかなくてはいけません。この事前の調査こそが、 「1日クリア」成功の鍵となるわけです。

(1)フラグを十分調査することで、プレイ中に迷うことなく最低人数の村人に話しかけ、効率的にプレイを進める
(2)味方キャラのレベルアップや特技習得を効率良く行う方法を考える。
(3)手に入れるべきアイテムを事前に確定しておき、アイテム回収・購入にかかる費用や時間を最低限にとどめる。
   また、途中で資金が足りなくならないようにする。
(4)途中で出現する敵の攻撃や行動パターンを良く調査し(主にボス敵)、最善の対処で素早く切り抜ける。


(1)フラグの調査
 おそらく皆さんがまず最初に疑問に思うのは、広大なDQ7の世界を本当に1日で全てクリアすることが できるのか?という点でしょう。これに関しては、フラグを十分調査することで大幅に状況が変わります。 行く必要のない町やダンジョンに立ち寄らないことも重要ですし、「石版が足りない!」 「次にどこに行けばいいのか分からない!」などという事態が発生しないだけでもかなりの時間短縮になります。
具体的なフラグについては、13時間30分でクリアしたときの「DQ7短時間攻略ガイド」をご覧ください。


(2)味方キャラの能力アップ
 次に浮かび上がるのは、レベルに関する疑問でしょう。今回はラスボス直前までレベル上げを一切行いません。 レベル上げを行わずとも先へ進むことが出来るのなら、ザコ敵からは全て逃げた方が早いに決まっています。 ザコ敵との戦闘では、倒すより逃げた方が圧倒的にタイムの短縮ができるからです。 参考までに、各通過地点でのレベルを挙げておきます。

状況平均Lv各キャラのレベル
フォロッド・マシンマスター戦6.8キ8、ガ4、主7、マ8
ダーマ・アントリア戦9.3主11、ガ6、マ11
グラコス撃破後・メルビン加入時15.3メ19、主14、マ14、ガ14
アイラ加入後・ヘルクラウダー戦18.5メ20、ア21、主16、ガ17
Disk1終了時19.8メ21、ア22、主18、ガ18
4精霊とグランエスタード復活時点9.5ア22、主19、マ18、ガ19
ラスボス戦30.8メ31、ア31、主31、マ30
神様・4精霊戦34.8メ34、ア35、主35、マ35


 このレベルは正直かなり低いです。本当にこんなレベルで、 並み居る敵を相手にほぼ100%の勝利が期待できるのか…?
実は、レベル上げはほとんど必要ないのです。理由は以下の2点。

・呪文・特技を駆使すれば、ほとんどのボス敵は超低レベルでも倒す事ができる
・DQ7ではザコ敵が弱いので、レベルが低くても安全に逃げ切ることができる


 低レベルで進むためにまず一番重要なのが転職計画です。 転職で強力な特技を(攻撃、回復、補助とも)身につければ、 以後のボスを素早くかつ低レベルで倒すことができるようになります。 しかし当然ながら、いくら強力でも「アルテマソード」や「ハッスルダンス」などのように 習得に時間がかかりすぎるものはだめです。
 今回は、以下のように3回に分けてまとめて熟練度稼ぎを行います。

●1回目:過去ダーマ攻略後
 まず1回目は転職が可能となる過去ダーマ攻略直後で、過去エンゴウを使って以下のように育てます。

なまえ転職する順番と戦闘回数覚える主な特技
主人公踊り子★5(53回)→戦士★5(55回)剣の舞
ガボ盗賊★7(110回)突き飛ばし・忍び足
マリベル羊飼い★8(135回)キアリー・口笛・怒涛の羊

ここでまず最重要なのは、「剣の舞」と「怒涛の羊」です。剣の舞は攻撃力0.7倍の攻撃が4回当たる技で、 怒涛の羊は「レベル×1.5+24」程度のダメージを敵に4回ぶつける技(成功確率7割程度)です。 怒涛の羊は攻撃力に関係しないので、マリベルが使うとちょうど良いでしょう。 ただし怒涛の羊が無効の敵もたくさんいますから、主人公は剣の舞を覚えます。 剣の舞を使うからには強力な武器が必須ですが、DQ7の世界には強い武器がたくさん落っこちているので大丈夫です。 またガボは忍び足を覚え、移動中のザコ敵の出現を抑えます。 なお、回復特技を全く覚えていませんが、クレージュでもらえる祝福の杖と後で仲間になるメルビンのベホイミ、 そして小さなメダルを集めると貰える賢者の石があるので特に必要はありません。

●2回目:ラスボス戦直前
 さて、次の熟練度稼ぎはもうラスボス直前。稼ぎ場所は過去ダーマになります。

なまえ転職する順番と戦闘回数覚える主な特技
メルビン 特になし
アイラ戦士★5(35回)→踊り子(30回)剣の舞
主人公戦士★8(48回)魔人斬り
マリベルプラチナキング★2(28回)アストロン・ベホマラー


 ラスボスの攻撃は強力なので、それに対抗するべくプラチナキング職でアストロンとベホマラーを覚えます。 プラチナキングの心はラスボス撃破直前になってようやく手に入るので、 このタイミングで熟練度稼ぎをするわけです。ラスボス戦では、メルビンは賢者の石or仁王立ち要員ですので、 マリベルがプラチナキング職に就きます。

●3回目:裏ボス戦直前
 神様や4精霊と戦うには、プラチナキングが仁王立ちをする必要があります。 プラチナキング職の持つ固有の耐性に頼らなければ、神様の壮絶な攻撃を耐え切ることは不可能でしょう。 しかし仁王立ちを新たに覚えるのは容易ではないので、もともと仁王立ちを使えるメルビンが プラチナキングをマスターする必要があります。というわけで、実は先ほどのラスボス戦前の 熟練度稼ぎを行う前にセーブをしておき、以後はノーセーブでラスボスに挑むことになります。 これにより、クリア後の石版を手に入れたデータでは、 プラチナキングの心はまだ使われていないことになります(←ちょっと複雑ですが)。
 クリア後は以下のように転職します。稼ぎ場所はもちろん過去ダーマです。

なまえ転職する順番と戦闘回数覚える主な特技
メルビンプラチナキング★8(350回)<職業をマスター>
アイラ戦士★8(110回)→吟遊詩人★5(55回)→羊飼い★8(135回)戦いの歌、怒涛の羊
主人公戦士★8(48回)→呪いのランプ★8(190回)魔人斬り、しょうかん
マリベル戦士★8(130回)→武道家★6(105回)魔人斬り、おたけび

 メルビンがプラチナキングをマスターするまで350戦しなくてはならないので、 残りのキャラは暇つぶしがてらに技を習得します。攻撃手段は主人公が「剣の舞」で マリベルとアイラが「怒涛の羊」になります。「召喚」でサムシンを呼んで攻撃を手伝ってもらうために、 主人公は移民の町に落ちている「呪いのランプの心」を使って呪いのランプに転職します。 さらに、神様の打撃に備えるためにアイラが戦いの歌(スクルトの効果)を覚えます。 また、レベル上げでメタル系を倒すために、メルビン以外の全員が魔人斬りを覚えます。


(3)武器防具とアイテムの入手
 前項では主人公たちをいかに短時間で効率よく強くするかという話をしてきたわけですが、 実は本人たちが強くなくても、装備品やアイテムが強ければそれだけでも何とかなってしまうことも 結構あるものです。
今回入手するアイテムなどはまた後で記しますが、まず主なアイテムの使用効果は以下のような感じです。

アイテム名効果手に入れる場所
薬草ホイミの効果各地の道具屋で纏め買い
世界樹の葉ザオリクの効果行く先々で拾う
世界樹のしずくベホマズンの効果行く先々で拾う
祈りの指輪MPを20〜30回復行く先々で拾う
眠りの杖ラリホーの効果吹き溜まりの町の武器屋
祝福の杖ベホイミの効果過去・世界樹で少女から貰う
時の砂戦闘を初めの状態に戻すタイムマスター撃破時
妖精の剣スカラの効果過去・山奥の塔の道具屋
さざなみの剣マホカンタの効果過去・海底都市の宝箱
炎のツメメラミの効果現代・プロビナの武器屋
風神の盾バシルーラの効果過去・聖風の谷の防具屋
賢者の石全員のHPを50〜60回復小さなメダル83枚の景品
英雄の杖フバーハの効果移民の町(35人)の武器屋

これらを使って、戦いをより有利に進めるわけです。


 また、装備品もとても重要です。特に防具に関しては、「耐性」を重視しながら慎重に選んであります。 「耐性」のある防具は、敵の呪文やブレス攻撃からある程度身を守ってくれます。 今回使用する主な防具の耐性は以下のとおりです。

防具名耐性値耐性の有無(系列別)
吹雪メラギライオバギヒャド
厚手の鎧15×××××
プラチナメイル20××
魔法の法衣25××
水の羽衣30×× ×
ギガントアーマー30×××××
ガイアーラの鎧35×××
ドラゴンローブ40××
鉄の盾5×××××
ホワイトシールド10××××××
魔法の盾10××
ドラゴンシールド15×××××
氷の盾20×××
水鏡の盾25×××
メタルキングの盾30××
(表の見方…例えば「耐性値25」の魔法の法衣は、メラ・ギラ・イオ、ヒャド、バギ系のダメージを 25ポイント軽減してくれるという意味です)


 さて、ここまでは単にアイテムや防具を列挙しましたが、 これらを思い通りにリアルタイムアタック中に手に入れるのは容易ではありません。 何故ならDQ7の世界には、特殊な条件を満たさないと手に入らないアイテムが数多く存在するからです。 それらについて順に見ていきましょう。

1.移民の町
 移民の町を育てていくと、町で小さなメダルを拾ったり強力な武器防具を買うことができます。 移民を集めるのは大変ですが、ここで小さなメダルを集めないと必要な枚数に届かないため、 移民の町は育てざるを得ません。移民の町を育てるためにダイアラック終了後に30分程度、 ラスボス撃破前に10分程度をそれぞれ費やします。

2.カジノ
 DQ7のカジノの景品は魅力的ですが、コインを稼ぐのに時間がかかります。 今回のプレイでは時間制限があるので、残念ながら使用できません。

3.メダル王の城
 集めた小さなメダルの累積枚数により王様から景品がもらえます。集めるのには時間がかかりますが、 移民の町をノーマルの最終段階まで育てると、クリアまでに111枚のメダルが手に入ります。 つまり、最後のアイテムであるプラチナキングの心をもらう条件の110枚に届くのです。 メダルの王様からもらえる景品のうち、今回のプレイで重宝するのは 奇跡の剣、賢者の石、メタルキングの盾、プラチナキングの心です。 もちろんメダルを集めることで余計な時間が結構かかってしまいますが、 賢者の石やプラチナキングの心がないと途中のボスやラスボスに勝てないので仕方ありません。

4.リートルードのランキング
 リートルードのランキングで1位を取ると景品がもらえます。 今回は主人公がかっこよさ賞を、メルビンがかっこよさ賞とかしこさ賞を取り、 プラチナメイル2つと知力の兜を手に入れます。 これらは要らなくなったら売ることで資金源としても役立ちます。 なお今回のプレイでは、以上の3つ以外の取得は能力的に不可能です。


 今プレイの計画で最も難しいのが、途中での買い物やどの宝箱を開けるかという計画です。 今回は、拾う宝箱・たる・ツボが合計100強、買うものは合計40強になる予定です。 金銭的にかなりギリギリの計画を立ててしまったので、このうち1つでも間違えると大変なことになりかねません。 同様に、小さなメダルやストーリー上必要な石版などの 重要アイテムを拾い損ねるとこれまた大変なことになります。


(4)敵との戦闘について
 先ほど少し触れましたが、基本的にザコ敵からは全て逃げます。 全滅しそうなほど強いザコ敵というのは、ダーマ以降ではほとんど存在しません。 回り込まれるのは3回までですし、逃げ損なっても全員からは攻撃を受けません。 それに、DQ7はザコ敵の出現率が低いですから、最短ルートを常に選び、 しかも「忍び足」を使うことで敵との遭遇率はかなり下がります。

 問題はボス戦の方です。今回の全ての戦略は、基本的にまずボス戦を念頭において、 それに合わせて他の様々な計画を練っています。しかしいくら強力な特技やアイテムが揃っていても、 別に楽勝できるわけでは全くありません。各ボスの攻略法は後述しますが、 今回は各ボスの攻略法を編み出すために予行プレイ中にボス戦直前でセーブし、 同じボスと何回も、時には何十回も、戦いました。
 今回のプレイの目標はタイムアタックですが、 同時に低レベルクリア的な要素も持っていると言うことができるでしょう。


(5)現実としての難題
 さて今までは机上で考えられることのみに目を向けてきましたが、 実際にプレイしてみると様々な障害が立ちはだかります。 例えばボス戦で全滅してお金が減った、祈りの指輪が1回目の使用でいきなり壊れた、 ザコ敵からなかなか逃げられず回復呪文を使いすぎてボス戦でMPが不足した、 などという状況が起きても臨機応変に対処しなくてはなりません。 これらに関してはどうすることもできず、ただただプレイヤーの力量が問われるのみです。

 また、上記のような「ゲーム内のアクシデント」の他にも「ゲーム外」 つまりプレイヤー自身に降りかかるアクシデントにも対処しなくてはなりません。 まず22時間もゲームを続けると、当然ですが眠くなります。 そのため、どんなに頭の中がヤバくなってもプレイを続けられるように、 できるだけ戦略を細部まで決定しておき、なおかつ分かりやすくしておくことが必要です。

 あと大きな問題として「フリーズ」が挙げられます(ゲームが突然動かなくなっちゃうことです)。 DQ7というゲームはとても不安定で、まずプレステ2を使うと動作が保障されません。 通常のプレステでもフリーズがよく起こります。もしもRTAの本番中にフリーズが起きたら大変ですので、 プレステ本体の放熱には気を使います。また、フリーズしやすいポイントの直前では必ずセーブをします。

 そして最後に重要なのは、食事やトイレなどの時間です。 DQ7ではボタンを連射しているだけでストーリーが進むポイントがいくつかあり、 中には5分程度かかるものもいくつかあります。こういった隙を事前に全てチェックしてあるので、 本番では有効に活用したいところです。


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