移動平均線の重要度:S(とても重要)
移動平均線とは
移動平均線とは、その日から一定期間前までの平均値の推移を示すグラフです。略してMA(Moving Average)と呼ばれます。
たとえば「10日移動平均線」と言ったら、過去10日の平均値を順々に繋いだものとなります。1月10日の所には1月1日~1月10日の10日間の平均値、1月11日の所には1月2日~1月11日の平均値・・・と、それぞれ10日前から当日までの平均値が記され、それらを線で結んだものが移動平均線となります。(※)
移動平均線は株価に限らず、FX、仮想通貨などあらゆるものに適用されます。
※実際は、市場が休んでいる日は除いて10営業日の平均を計算します
移動平均線の見方の例
移動平均線は、株価の目安にされています。例えば以下のような図を見てみましょう。
この図では、26週移動平均線を下回らないように株価が推移しています。株価が下落した日でも、26週移動平均線にぶつかるとそこより下には行かないようになっています。これは、この株を売買している人の大半が移動平均線を意識しながら売買しているためです。
逆に移動平均線が抵抗線となってしまう場合もあります。例えば以下の図のような場合です。
この図では、株価が調子よく上がって行っても、移動平均線にぶつかるとそこから上に行けなくなっています。このように、移動平均線が株価の頭を押さえてしまうケースもあります。
いずれの場合も共通して言えるのは、株価が移動平均線の上を超えようとする時は抵抗があって、簡単には横切れないケースが多いということです。下図のように、最初は下値サポートラインとなっていたのが、3月には上値抵抗線になってしまう、という場合もあります。
移動平均線からの乖離率
移動平均線は、乖離率を見るのにもつかわれます。つまり、過去の平均と比べて大きく上に行ってしまった場合は買われ過ぎ、過去の平均と比べて大きく下に行ってしまった場合は売られ過ぎであると判断できるのです。
例えば移動平均線が5000円となっている日に、株価が5500円になっていたら、移動平均線より500円高い状態です。5000円と比べて500円高いというのは10%高い状態ですから、乖離率は10%となります。
一般的には乖離率が10%を超えると買われ過ぎ、-10%を超えると売られ過ぎと言われますが、必ずしも10%という数字が正しいとは限りません。見ている株や商品ごとに過去の傾向を見て、乖離率がこれくらいになると乖離率が減る方向に動くという傾向を見つけることが重要です。
移動平均線の日数・期間
移動平均線で平均する日数は、自分の見たい期間に合わせて好きなものを使って構いません。ただ、1つだけ見るのではなく、様々な期間の線を見た方が良いでしょう。よく使われる指標としては、短期的な傾向を見る「25日移動平均線」や、やや長期の傾向を見る「200日移動平均線」などがあります。
移動平均線が役に立たない例
移動平均線は、環境の変化がない時に株価がトレンド通りに推移しているかどうかを見るのに使われます。そのため、会社の業績悪化が判明したり、提携・合併のニュースなどで大きな環境の変化が発生した時は、移動平均線を突き破ったり乖離率を無視して株価が変わることがあります。
但しそうした状況下でも、例えば暴落時には下限のメドとして平均線が意識されることがあります。どんな株も、暴落したからと言って0円になるわけではなく、どこかで下落がストップしたり、反発したりします。その際に、ちょうどいい位置に移動平均線がある時は、そこで下落がストップするか見てみると良いでしょう。
単純移動平均線(SMA)と加重移動平均線(WMA)、指数平滑移動平均線(EMA)
ここまで説明してきたのは、厳密には「単純移動平均線」(SMA / Simple Moving Averageの略称)と呼ばれるものです。実は他にも「加重移動平均線」(WMA / Weighted Moving Averageの略称)や「指数平滑移動平均線」(EMA / exponential Moving Averageの略称)といった指標もあります。単純移動平均線は過去から今までの株価が全部平等に平均されますが、古い株価より現在に近い株価を重視して平均を取るという方法です。単純移動平均線と比べるとあまり使われることはないですが、株価変動が大きすぎる場合など、何らかの理由で直近の数字を重視したい時に使います。
基本的には単純移動平均線が使われることがほとんどです。自分に取って都合のよいグラフが書けたからといって、特段の理由がないのにSMA以外の移動平均を使うというのは避けた方が良いでしょう。