2011年6月19日 ポテチを何枚食べるか

袋入りのポテトチップスというやつは、何枚食べるか非常に難しい。
戦略を立てずにひとたび袋を開けてしまえば、最初はちょっとのつもりでも
あと1枚、あと1枚…と食べていき、気付くと一袋なくなっている。
それで、後になって、体に悪いなあとか思ったり、ダイエットするはずだったのになあとか思ったりして、後悔するわけである。
今日はそんなポテチについて考えてみる。


まず、ポテチ1枚あたりの満足度について考える。
例えば1袋に100枚のポテチがあるとしよう。

100枚のポテチを順に食べていくとき、1枚目と100枚目は同じ価値だろうか。
おそらく1枚目の方が100枚目よりも、1枚がもたらしてくれる幸福感が高いはずだ。
では10枚目と11枚目はどうか。やはり10枚目が勝ると思う。
要するに、食べていくうちにありがたみが減っていき、1枚あたりの価値が徐々に減っていくのだ。
中でもその減衰が最も顕著なのは1枚目と2枚目、次いで2枚目と3枚目だろう。

そう考えると、仮にモデルを立てることができる。
1枚目がもたらす幸福感を100とし、
x枚目のポテチ1枚がもたらす幸福度を、関数H(x)=100/x で表すとしよう。
HはHappyの略ね。
xが増えていくほどH(x)は100、50、33、25…と減っていく。
10枚目は10点で11枚目は9.1点だ。
ちなみにこれは例示する目的で立てた仮の関数なので、正確である必要はない。


さて一方で、たくさん食べると、食べ過ぎることによるデメリットが発生する。
太るとか体に悪いといった健康面のこともそうだし、
夕飯に差し支えるといった理由もあるだろう。
ここでは仮に、10枚以上食べるとそれらの不具合が発生すると仮定する。
つまり10枚までならデメリットなく食べられるが、
11枚目以降は1枚につきマイナス1点分ずつ不幸が加算されていくと考えてみる。

この場合、x枚目のポテチがもたらす不幸度を、関数U(x)=x-10で表すとしよう(但しx>10)。
UはUnhappyの略ね。
X>10の範囲で、xが増えていくほどU(x)は1、2、3、4…と増えていく。
10枚目までは0だが11枚目で1となり、そこから増えていくわけだ。
※X≦10ではU(x)=0なので、正確に記述すると「U(x)=MAX(0,x-10)」


さて以上のように、ポテチを食べるメリットである幸福度H(x)と、デメリットである不幸度U(x)を設定した。
この時、これらメリットとデメリットの合計P(x)はH(x)-U(x)となる。Pはポテチの略ね。
H(x)=100/x、U(x)=x-10より、P(x)=100/x-x+10である。
当然P(x)がプラスなら食べればいいし、マイナスになるなら食べなければ良い。
その分岐点になるP(x)=0の時は、P(x)=100/x+x-10=0となるから、これを解いてx≒16.18となる。

16枚目のポテチがもたらす幸福度H(x)=100/16=6.25、不幸度U(x)=16-10=6。
つまり差引き+0.25で辛うじてプラスになる。
ところが17枚目のポテチでは、H(x)=100/16=5.88、不幸度U(x)=17-10=7。
確かに不幸度が幸福度を上回っているわけだ。
つまり、この例ではポテチを17枚以上食べるのはやめた方が良いということだ。


このように、予め戦略を立てておけば、無駄にポテチを食べることは無くなるはずである。
ところが実際はそうはならないのが面白い。
(もちろん今回仮に立てた式が正確でないことが挙げられるが、仮に正確だったとして)
実践してみると、16枚目を食べた時点で不思議と17枚目を食べたくなってくる。
そこで我慢できずに17枚目を食べてしまった人は、どうして上記の計算にかかわらず17枚目を食べてしまったかを考えると良い。
答えは簡単で、食べる前(0枚目)の時点と16枚目を食べた時点とでは、17枚目への評価が異なっているのである。
多くの場合、不幸度の計算が甘くなっているのだろう。
0枚目の時点では不幸度U(x)は11枚目から増えていくと計算していたのに、
16枚目を食べた時点ではU(x)は17枚目でも増えないとか勝手に計算を変えているのだ。
しかしその調子ですべて食べてしまえば、いつものようにまた、体に悪いなあとか思ったり、ダイエットするはずだったのになあとか思ったりして、後悔するわけである。


このように一般的に、「後悔」の大きな要因の一つが、物事を考えるタイミングによってそれへの評価(特にデメリットの評価)が異なることであると思う。
そしてそのことへの数少ない対応策の1つが、自分が冷静である時に予め物事を検討しておき、自分が冷静でない時にはかつて冷静だったときに導き出した結論を参照するようにするということだと思う。

実は今日書きたかったのはポテチの話じゃないんだよね。

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コメント

  1. おてう より:

    >かぷきんさん
    確かにそうですね。人生の場合は長く生きていいから簡単ですけど。笑

  2. おてう より:

    >かぷきんさん
    確かにそうですね。人生の場合は長く生きていいから簡単ですけど。笑

  3. かぷきん より:

    年をとるほど1年が短く感じられるのは、1歳の人はその1年が人生の全てだから1/1。
    40歳の人は一年は人生の中の1/40でしかないから っていうのとちょっと似てますかね。

  4. かぷきん より:

    年をとるほど1年が短く感じられるのは、1歳の人はその1年が人生の全てだから1/1。
    40歳の人は一年は人生の中の1/40でしかないから っていうのとちょっと似てますかね。