フィボナッチの重要度:A(知っておくと良い)

フィボナッチとは

投資の世界におけるフィボナッチとは、フィボナッチ数列に出てくる「61.8%」「38.2%」「23.6%」という数字(主に38.2%)を使ってトレンド転換ラインを予想するという手法です。(数字の根拠は最後に記載します)

数学のフィボナッチ数列を知っている人にとっては誤用に見える言葉ですが、投資の世界でフィボナッチと言うと、ここで紹介する手法を指すことが多いようです。

フィボナッチの使い方

フィボナッチは、大きな価格変化の後のリバウンドを予想するのに使います。

例えば上昇局面で天井を迎えた後にどこまで戻るのか、あるいは下落局面で底を迎えた後にどこまでリバウンドするか、といった予想をする際に、参考になるという指標です。

ビットコインが史上最大の大暴落をした後にフィボナッチ38.2%の上昇
▲ビットコインが史上最大の大暴落をした後にフィボナッチ38.2%の上昇

下値を0%、上値を100%とした時に、「76.4%」「61.8%」「38.2%」「23.6%」にあたるところにラインを引きます。この中のどこかまで反転する可能性があるというわけです。

どの投資世界でも最も反転しやすいのは38.2%のようですが、これだけではこれらの線のうちどこで反転するか確定はできません。実際にはフィボナッチだけでなく他のトレード手法なども踏まえて総合的に判断することになります。

過去にフィボナッチが機能した例

2008年のリーマンショックの際、株価は約18000円から7000円へと大暴落を起こしました。その後、フィボナッチ数である38.2%まで戻りの上昇を見せ、そこでまた反落に転じています。

世紀の大暴落「リーマンショック」の時もフィボナッチ38.2%が機能
▲世紀の大暴落「リーマンショック」の時もフィボナッチ38.2%が機能

また、こちらは仮想通貨「ビットコイン」の暴落時から戻り高値までのグラフです。こちらも下落時の38.2%までリバウンドしているのを確認できます。

ビットコイン暴落時もフィボナッチ38.2%の上昇を達成
▲ビットコイン暴落時もフィボナッチ38.2%の上昇を達成

半値戻しとフィボナッチの関係

株の世界などでは、大幅な価格変動の後にその半分(50.0%)まで価格を戻す「半値戻し」という言葉があります。半値戻しもフィボナッチと同等かそれ以上に有力な数字ですので、グラフ上にフィボナッチと描写するツールは50.0%にも線を引クと良いでしょう(自動的にそうしてくれるツールが多いです)。

フィボナッチは元々はただのアノマリー

フィボナッチの「61.8%」「38.2%」「23.6%」という数字は、フィボナッチ数列に起因しています。

フィボナッチ数列とは、1つ前の数字と2つ前の数字を足すことでどんどん数字を作っていく数列のことです。1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89…と続いていきます。

こうやって数列を作って行った時、数列の中のある数を1つ前の数で割ると、約0.618になるという現象が起きます。例えば55÷89=0.618、34÷55=0.618です(端数は四捨五入)。

同様に、2つ前の数字を割ると0.382、3つ前の数字を割ると0.236となります。これが、フィボナッチ・リトレースメントに使われる「61.8%」「38.2%」「23.6%」の根拠です。

そういうわけですので、本来は株価などの値動きとは何も関係のない数字です。戻り高値・戻り安値の水準となる数学的根拠はありません。

ただ、0.618に1を加えた1.618という数字が「黄金比」と呼ばれるなど一部の数学愛好家から偏愛を受けている関係で、様々な世界で「あれは黄金比だ」「これは黄金比だ」と言いまわる人たちがおり、投資の世界にも徐々に浸透してきたようです。

今では様々な投資用グラフツールにフィボナッチのラインを引く機能が付いていて、多くの投資家の目につく状態になっているので、強く意識されるようになり、戻り高値・戻り安値の目安として機能するようになっています。