生存バイアスの重要度:B(知っていても良い)

生存バイアスとは

例えば投資の世界で、投資経験10年以上の人に対して「あなたは投資で儲けましたか?損しましたか?」というアンケートを取ると、負けている人より勝っている人の方が多くなります。この結果は一見すると、長く投資を続けると勝てるようになるという意味に思えますが、そうとは限りません。なぜなら、大損した人は10年も続けられず引退してしまったので、このアンケートに答えていないためです。

これは、アンケートに生存バイアスがかかっている例です。バイアス(bias)とは英語で「偏り」という意味を表す単語です。

このように、調査対象が生存者に偏ってしまうことを「生存バイアス」と呼びます。正しい調査結果を得るためには、生存バイアスがかからないような調査方法を選択する必要があります。

生存バイアスの例

「私はこの方法で1億円稼いだ!」という理論をかざして本を出版したり、日本中で公演を行ったりする人がいます。実際は、その方法で必ず1億円が稼げるわけではありません。しかし同じ方法で失敗した人や、微妙に損をしたという人が「私はこの方法で微妙に損をした!」などと言って本を出したり、日本中で公演を行うことは少ないでしょう。成功者のみが「私は成功した!」と名乗り出るため、まるでその方法が優秀であるかのように見えてしまうのです。これも本来の生存バイアスとはやや異なりますが、広義の生存バイアスの例と言えるでしょう。

生存バイアスの注意点

生存バイアスというのは、情報の発信者が生存バイアスがかかっていると気づいていながらそのことを隠して拡散する場合もあれば、気づかぬうちにいつのまに生存バイアスがかかってしまうケースも存在します。いずれの場合にしても、生存バイアスが働いていることに気付かなければ、損をするのは受け取り手です。他人の作ったデータ等を見る際には、生存バイアスがかかっていないかどうかという視点にも注意して見る必要があります。