2013年6月29日 日本には何故プロゲーマーがいないのか

3年ほど前に日本でもプロゲーマーが誕生した(正確にはFPSゲームでは既にいて、格闘ゲームで初めて誕生した)なんてのが話題になりましたが、その数はいまだに全ジャンルを合わせても100人規模のようで、
いっぽうアメリカと韓国ではもっと人数もメディアへの露出も多く、また収入も高いのだとか。

どうして国内外でそういう差が付いたのかについては様々な意見があると思いますが、僕に言わせれば実に簡単で、日本で人気のゲームジャンルがFPSや格闘ゲームではなくRPGやアクションゲームだからです。
FPSや格闘ゲームはプレイヤー同士が対戦し、RPGやアクションはゲーム製作者が作ったボスと戦います。だから1つには、圧倒的に前者の方が「魅せるプレイ」「見たいプレイ」を作りやすく、ビジネスが生まれるわけです。そしてもう1つには、RPGでは他人のプレイを見ることが「ネタバレ」になってしまうため、プレイヤーが他人のプレイを見たくない、ゲームメーカー側も見てほしくない、という側面があります。付け加えれば、RPGはそもそも敵との対戦こそが全てではなく、むしろその背景にあるストーリーなど様々な要素がゲームにとって重要になっています。

そういった具合ですので、日本で人気のゲームはプロゲーマーを生むのに向いておらず、プロゲーマーを生むのに向いているゲームは日本で流行っていないのです。最近人気のパズドラなんかも同様に、ゲームのファンは多いですが、魅せるプレイが難しいゲームです。いっぽう売れているゲームの中では、モンスターハンターやポケットモンスターの対戦などは、ゲーム内容だけ見ればもしかしたらプロ化が可能なゲームかも知れません。但しもう売れているゲームだし関連商品もそんなにないので、メーカー側にはメリットが無いかもしれませんが。

メーカー側の許可が無ければ、そもそも動画の配信すらできませんので、これはもうプロゲーマーになるのはほぼ無理と言って良いでしょう。それはメーカーが悪いのではありません。プロ化という観点から行けば、そもそも動画配信がメーカーのメリットになるような題材を選んでいないプレイヤー側が悪いということになります。プロゲーマーになりたい方は、まずは適切な題材を選ぶ必要があります。よりストレートに述べれば、RPGでは無理ということです。

もしも日本にRPGのプロゲーマーへの道というレールが既に敷かれていたとして、33歳の僕が今さらプロになることは難しいでしょうが、時代が時代ならプロになっていたかもしれない魅力的なRTAプレイヤーというのは過去に何人もいました。(今もニコニコ動画あたりを覗けば何人かの候補が見当たります。)RTAに限らず他のプレースタイルでも、90年代~00年代前半にかけて活躍したRPG系の伝説のプレイヤーたちはプロになりえたでしょう。
彼らのほぼ全てに共通していたことは、全盛期時代に仕事や学業等が忙しくなって、引退あるいはそれに繋がる出来事があったことです。そこでプロゲーマーになるという選択肢が無いことは、ことによると彼らにとって良いことだったかも知れませんが、彼らのプレーのファンだった方たちにとっては不幸な事でした。

RPGのスーパープレイヤーたちのプレーが魅力的である理由の1つに、RPGのプレイ人口が多いことが挙げられます。プレイ人口が多いから、そこから一定割合で誕生するであろうスーパープレイヤーの人数もそれなりにいますし、プレイ人口が多いから注目を集めやすいので彼らのやる気も保たれます。だからもしもこれがRPGではなくFPSや格闘ゲームだったら、やはり日本人はアメリカや韓国と同等あるいはそれ以上のプロゲーマー大国になっていたのではないかと僕には思えるのです。
そしてそれは、「子供たちが勉強をさぼってゲームに没頭する口実になる」という大きな社会的デメリットを生んでいたことでしょう。僕は現状にとても満足です。あれっw

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