2023年キッズBEE・ジュニア算オリファイナルの感想と平均点・メダルボーダー予想

2023年キッズBEE・ジュニア算オリファイナルの感想

2023年のキッズBEE・ジュニア算オリファイナルの問題を見ての、個人的な感想です。

平均点やボーダーの算出方法は最後に記載していますが、正確性はぜんぜん保証できませんので予めご了承ください。
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2023ジュニア算オリファイナル予想

今年のジュニア算オリファイナルは易問ラッシュで、平均点が過去最高付近になりそうです。

まず前半戦の1~4番はどれも易し目でした。

1番と2番はまっすぐ解いていくとかなりの作業量になりますが、工夫すれば作業量を減らせる問題でした。作業量を減らすと間違いも減らすことができます。

ただそれでも一定量の作業は必要になります。算オリらしくない問題だなと感じた人も多いと思いますが、もしかすると最近の大学受験で目立ってきている「データ処理」を意識した問題なのかなと思いました。出題意図が気になるところです。ただ、算数好きの子にとっては苦痛な作業になる場合もあり、子供に対策させるべきかどうかはよく考えた方が良さそう。算数塾等が今後どの程度対応していくかも気になります。

3番はキッズBEEに出てもおかしくないような題材・難度。ファイナル進出者ならば瞬殺できた子が多かったと思われます。順番的には先に3番を解いてから、作業量の多い1番2番に挑むとやりやすかったと思われます。

4番も、本来は難しい問題のはずですが、中学受験や算数塾界隈では下図のような問題が定番化しているので、似た問題を解いたことのある子が多かったと思われます。

▲この三角形がどんな形か、辺の長さと角度を調べると解ける

さて、後半戦の5番~8番は一転、難しい問題が並びます。

5番はトライアルでよく見るわり算の虫食い問題。ちょっと難し目なのでファイナルに送られたのだと思われます。ただ面白いことに、1番を解く際に「九九の81個の答えの中に1の位が3のものが4個しかない」ということに気づいていれば、解答が大幅に楽になる問題でした。

6番は「何通り」を出す数え上げの問題。工夫すれば最終的に超簡単に求まるという良問なのですが、そこまで行きつけた子は少なそう。難問です。

7番は図形で、こちらは典型的ではない問題。公式解答のような美しい解き方もありますが、力技で「x²+y²+z²=314」の答えを偶然見つけてもそこからまだもう一工夫必要、という良い問題だったと思います。答えが「293」と推測しにくい数字で、偶然当たらないのも良いですね。

8番は正多角形の内角3つ合わせて360度になる組合せを見つける問題。今回唯一の「全て求めなさい」の問題です。自分の出した答えで全部かどうかを知る手段が乏しく、しかも1個だけ見つかりにくい答えがあったため、ここは満点を取れずに部分点を取る子が大量発生したのではないかと思われます。

そしてなんと8番は、希学園のジュニア算オリ対策講座でほぼ同じ問題があったそうです。部分点は取れるので大差は付きにくいですが、完全正解率は最も低かったと思われる問題(正解率1桁%と予想)なので、表彰絡みでは希学園勢がかなり有利を取れたのではないでしょうか。

全体を見ますと、1~5番は正解率50%以上、6~8番は正解率20%以下(予想)、と難易が大きく分かれました。1~5番の易し目な問題さえ全部取れれば、平均点は超えたのではないでしょうか。表彰に関しては、最も難しい8番の部分点次第と言えそうです。

平均点は50点前後、表彰ボーダーは88点前後と予想しています。(もし本当にそうなら、どちらも歴代最高点となります)

問題 難度予想 問題 難度予想
問題1 (1)易~(3)普通 問題5 やや易
問題2 やや易 問題6 やや難
問題3 やや易 問題7 やや難
問題4 やや易 問題8

※易100~80%/やや易80~60%/普通60~30%/やや難30~10%/難10~0%の5段階評価

2023キッズBEEファイナル予想

さてキッズBEEの方は、全問とも難しめでした。中でも問題2,5,7,8の正解率が低かったのではないかと思われます。

1番は日にちとかけ算・わり算の問題。「7月11日から7月30日まで何日か?」は、慣れないうちは一瞬手が止まります。

2番は「同じ長方形の紙を半分に折ったのに、1人は60cm、もう1人は54cmになった」の謎を解くところが難し目。大人が見れば縦に折ったか横に折ったかでしょ、と一瞬で分かるのですが、低学年で、しかも緊張の中ではなかなか難しかったかもしれません。ただ、そこさえクリアすると、後は2019年のトライアル問題5などと似た問題でした。

3番はチェスの「ナイト」の駒の動きでマスを動いていく問題。これはナイトの動きを元々知っている子は圧倒的に有利だったでしょう。将棋の「桂馬」の駒を知っている子も、少し役に立ったかもしれません。

算数の問題では、このように、算数以外の知識が前提になってしまうことがたまにあります。オセロ、五目並べ、トランプ、アルゴ、あみだくじ、めいろなどもそうですし、稀にですが野球の「バッター」「アウト」といった言葉やサッカーワールドカップのリーグシステム(勝ち3点、引き分け1点、負け0点)を知らないと不利になる算数問題も世の中にはあります。キッズBEEでは、そういった前提知識の差が点数に直結してしまう問題はできるだけ排除してほしいと思っていますが…。(スポーツ系は女子が不利になるという問題もあります)

4番は、Aくんは「123456」の普通のサイコロ、Bくんは「123447」という変なサイコロを振って、大きい目が出たら勝ち。どちらが勝ちやすいでしょうか、という問題。「勝ちやすい」とは何なのかが子供には分かりにくいように思います。要するに、例えばAくんが勝率60%でBくんが勝率40%だとしたら「Aくんが勝ちやすい」というだけの話なのですが、確率やパーセントを使えないのでこのような表記になったと思われます。

実際に調べていくと、作業量もそこそこあります。ここもジュニア算オリ同様、データ処理を意識した問題のように思えました。正確にすばやく処理するのは、低学年には意外に難しいかもしれません。

以上のような難しい要素が2つある問題ですが、答えが「Aさん・Bさん・同じ」の3つから選ぶので、適当にやっても3分の1で正解できてしまうのが辛い所。

ここの配点は12点で、3問あるので、4点×3問。運次第でメダルの色が変わった子もいたかもしれません。

5番はキッズBEEらしい問題。2019年トライアルの8番などを解いたことがあると、似た考えから正解に結びつきやすかったかもしれません。なぜまた2019年。

6番はパズル問題ですが、緊張をほぐすために序盤に出す易問ではなく、結構難しめの問題。理論で解いていくこともできるのですが、低学年には厳しかったと思われます。ただ低学年ではパズルを「適当に数字を入れて当たったらラッキー」で解く子が多く、この問題もそれを繰り返すことで解けたので、正解率は意外と高めだったようです(適当にやるにしても、どの順で試すか、つまり正解を見つける早さはセンスが問われます)。ちなみに完全に理論だけでやっていくと、ジュニア算オリレベルの難度になります。

7番は立体を転がす問題。立方体のサイコロを転がす問題ならよく見かけますが、今回は正四面体を転がす問題でした。キッズBEEの図形問題は、立体は平面と比べて正解率が低い傾向があるようで、得意かどうかで差が付いた良問のように思えます。正四面体を転がすことってなかなかないので、頭の中で「サイコロは4回転がすと元に戻るけど、正四面体は何回転がしたら元に戻るんだろう?」などと考えると結構難しかったのではないでしょうか。

8番は平面図形の問題。「面積」をしっかり扱える子には瞬殺、よく知らないと苦労する問題でした。実は面積というもの自体は小5の範囲で、中学受験塾でも小4で習います。キッズBEEの出題範囲は「小3までの範囲と四則演算と長方形の面積」みたいな感じで、面積が出ることは明言されているので、ぜひ対策しておきたいところです。(本問は三角形の面積が出て来るので指定範囲を超えている気もしますが…)

難易度は、2,5,7,8が難し目、4も難しいけど三択だから結構当たっちゃう、残りは中程度、という感じになりそう。難問の出題ジャンルが図形、論理、立体、平面とバラけたいい感じのセットになっている気がします。

平均点は40点前後、金メダルボーダーは70点台と予想しています。

ちなみに去年は難しすぎて、平均27点、金メダル50点でした。

問題 難度予想 問題 難度予想
問題1 やや易 問題5 やや難
問題2 やや難 問題6 普通
問題3 普通 問題7 やや難
問題4 普通 問題8 やや難

※易100~80%/やや易80~60%/普通60~30%/やや難30~10%/難10~0%の5段階評価

平均点とボーダーの算出根拠

前回同様、皆さんからのアンケートを基に、補正をした正解率を使っています。

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但しファイナルでアンケートを取ったのは初めてですが、母集団の異なるトライアルと同じ補正をしているので、今回は今まで以上に実際の結果と大きく異なる可能性があります

またボーダーは、過去の平均点・各問題正解率とボーダーの関係から予想しています。

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