2024年第1回サピックスオープンAと合不合判定テストの算数の難度と正解率に関する研究

SOと合不合の算数の比較

2024年の第1回サピックスオープン(通称:SO)と第1回合不合判定テストが4月に行われました。

両方受けたので、せっかくだから内容を簡単に比較してみたいと思います。

注意事項

今回は算数のみ比較しています。

サピックスオープンの算数は通常のA問題と思考力を要するB問題がありますが、今回はA問題のみを対象としています。(B問題は平均点が55/150点という超難問です)

問題と正解率の比較

下表は、四谷大塚「予習シリーズ」において、どの難度に分類されている問題が出題されたかを比較した結果です。

※問題難度の目安について…テストに出た問題と全く同じあるいは明らかに同レベルの問題が予習シリーズ4年・5年にある場合は、それにより分類。無い場合、解答までに必要な工程数などから近い問題レベルを判断しています。

※正解率はサピは男女一緒、合不合は女子の結果を使用。

このデータから分かること

1.サピックスオープンの方が難問が多い

SOは練習問題以降の難度帯からの出題が101点もあるのに対して、合不合では65点のみとなっています。

また、計算問題はSOの方が正解率が低いですが、これはSOの方が計算問題が難しかったことを示しています。

全体として、SOの方が難しい問題が多く、合不合の方が簡単な問題が多いと言えるでしょう。

2.サピックスオープンの方が正解率が高い

練習・実戦レベルの正解率を比較すると、SOは53%、四谷は36%となっています。同レベル帯の問題を比べると、SOの方が正解率が高い、つまりよくできている子が多いと考えられます。

基本問題レベルに関しては、合不合が76%、SOが60%と、合不合の方が高くなっています。これに関しては2つの理由が考えられます。

  1. 合不合では四谷のテキストと全く同じ問題が大量に出た
  2. 合不合では基本問題の中でも特に簡単と言える1⃣からの出題が多かったが、SOでは1⃣相当の易問は0問

応用問題レベルに関してもSOで24%、合不合で4%となっていますが、今回SOでは難問はB問題に行っていると考えられます。また応用問題は難度の幅が広かったり、制限時間に対する問題量によっても大きく正解率が変わるなど様々な要素があるので、ここは参考程度とした方が良いかもしれません。

3.平均点や総合正解率はほぼ同じ

結果的にSOと合不合の平均点や正解率はほぼ同じになっていました。

SOの方が難問の割合が高いものの、サピ勢の方が優秀な子が多いためと考えられます。

考察

両者の出題範囲については、SOは予習シリーズの練習問題~実戦演習クラス、合不合は基本問題クラスが中心だった、と考えて良いでしょう。

これらのテストの対策をする場合、どの程度の難度の問題を解けるようになっておくことが望まれるか、分かって来そうです。

上位層の合格率はSOでしか測れない?

合不合とSOを比較すると、上位層の実力を測るのに適しているのはSOであると言えます。

例えばSOの80%偏差値では

  • 筑駒71、開成68、渋渋61、麻布61、駒東59

と、各学校間でかなり大きな差が開いています。

しかし合不合の80%偏差値では

  • 筑駒72、開成71、渋渋70、麻布66、駒東66

と、差が小さくなっています。これは、合不合ではこのレベル帯の子たちの出来・不出来を分ける問題の分量が少ないことを意味しています。

実際のところ、合不合は上位勢にとって「簡単な問題を短い時間で正確に解くテスト」という、中学受験本番とは全く異なる競技になってしまっています。そこから算出される合格率も、確かに、あまり当てにはならない可能性があります。

自分の実力に合った模試を受けたいところですね。

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