公文算数の進度を考える
低学年から中学受験をある程度視野に入れて公文式をやる場合、進度を気にするご家庭も多いと思います。「3年生までに算数のF教材(6年生の計算)ができると中学受験で有利らしい」とか聞いたら、そこを目指して爆速で進めたくなりますよね。
4年生で中学受験塾が本格的に始まると忙しくなるので、その前に小学校範囲の計算を全部できるようになっておくと有利、という考え方に基づいています。
公文の算数は計算の問題のみで、文章題、図形、特殊算などの中学受験問題には対応していません。そのため中学受験を考えているご家庭では、3年生まで公文で計算力のみを身に着け、4年生から中学受験塾で中学受験の算数に対応する、という考え方を取るケースが多いです。
しかし、公文の先生は必ずしもそう思っているとは限りません。
実際、3年生までに6年生の内容を終わらせようとすると、1日あたりのプリント枚数が増えます。1日の枚数が増えると、様々なデメリットがあると考えられます。
- 子供が公文を嫌いになってしまう。退塾してしまうかも
- いい加減に解いてしまう。子供が自分で裏技的な方法を編み出してしまい、本来のトレーニングにならない場合がある
- 字が汚くなる。あるいは字を汚く書いて良いと思ってしまう
- 短い時間で習得してすぐに次に行くと、覚えたことをすぐに忘れてしまう
公文の先生の立場からすると、毎年かなりの数の生徒が入塾し、退塾してしまうのを見ているわけですから、無理をさせたくないのは当然と言えます。
公文の先生にも色々いる
僕が見ただけでも、公文の先生にはいろんな人がいます。親の要求に柔軟に対応してくれる人から頑固に自分のやり方を貫く人まで様々です。中学受験への理解度も全く異なります。中学受験のサポートをしたいと思っている公文の先生もいますが、中には中学受験というものは子供をダメにすると思っている極端な先生もいるようです。
親がしっかり面倒を見る前提で、進度を任せてくれる先生もいます。「中学受験に向けて3年生までにF教材クリアを目指したい」としっかり伝えれば、枚数に関してある程度の交渉は可能な先生が多いと思います。
進度を計算してみよう
3年生までにF教材を終わらせるには、実は1日10枚進めることは必須ではありません。最初の簡単なうちは10枚でも楽勝でしょうが、最後の方は5枚やそれ以下でも、3年生までにF教材は十分達成可能です。
下表では3つの例を挙げてみます。
1日の枚数と繰返回数 | 1単元にかかる日数 | AからFまでの日数 |
---|---|---|
1日10枚×2回繰り返し | 40日 | 240日(8カ月) |
1日5枚×3回繰り返し | 120日 | 720日(2年) |
1日3枚×4回繰り返し | 267日 | 1600日(4年半) |
これらのケースについて少し詳しく見てみます。
1日10枚で2回繰り返す進め方
わずか40日でA→B→C…と進んでいきます。Aから始めて240日でFが終了します。
これは実際に無理で、早い子でも3桁4桁の掛け算割り算があるD教材あたりから1日5枚、あるいは3枚、と減っていくことになるかと思います。
1日5枚で3回繰り返す進め方
AからFまでなら720日、ほぼ2年間ということになります。始める時期にもよりますが、まあこれでも十分だと思います。
理想はA~Cの途中までを1日10枚×1~2回繰り返しで爆速で終わらせて、それ以降辛くなった時に5枚に切り替える、という感じではないかと思います。
1日3枚で4回繰り返す進め方
これだと200枚(アルファベット1つ分)に9カ月ほどかかる計算になります。
ここまで来ると、なかなか進まないので、そのこと自体を子供が苦痛に感じる可能性があります。子供は基本的に繰り返しが嫌いな子が多いです。
適切な進度の例
公文のプリントは徐々に難しくなっていきます。先に進むほど、1日にできるプリント枚数は少なくなり、繰り返し回数も多く必要になります。
そのことを考慮すると、例えばこのような進め方が考えられます。
- A~Bを40日ペース(1日10枚×2回繰り返し)
- C~Dを120日ペース(1日5枚×3回繰り返し)
- E~Fを267日ペース(1日3枚×4回繰り返し)
これで合計854日となります。日曜日にやらないとしても3年弱でA~Fまで終わる計算になるので、小1から始めても中学受験塾に入る小4までに間に合います。
上記はあくまでモデルケースの一例です。実際は最初からこのように枚数を決めるのではなく、子供の様子を見ながら、1日に進める枚数が辛そうだと感じた所で手を緩めていくことになります。
公文教材は何回繰り返す?
公文では同じプリントを何度もやるのが基本ですが、繰り返す回数は先生によっても、また子供にもよっても異なります。
うちの経験した範囲ではこんな感じが基本のようです。(高学年の国語はやってないので知らないです)
簡単な部分 | 簡単でない部分 | |
算数 | 2回~3回 | 3回~4回 |
国語 | 1回(漢字のみ2回) | 1~3回? |
英語 | 1~2回 | 3回~4回 |
ベストは緩急をつけること
公文の先生に進度を全部任せていると、先生は全ての子を細かく見てはいられませんから、先生のテンプレに従って、教材が進むごとに1回の枚数が減ったり、繰り返し回数が増えていきます。
しかし実際は、例えば算数C教材の1~50は九九なので、既に九九をマスターしている子は1日10枚×1回繰り返しでOKです。また、D教材は150番までは地獄の掛け算割り算地帯で、1日に勧める枚数が減る子も多いのですが、151番からは約分なので爆速で進められます。
このように教材を細かく見て、進められるところはガンガン進め、難しいところだけ慎重にやることができれば、無駄なく無理なく効率的に進めることができます。
これを実現するには先生と密にコミュニケーションを取る必要があります。先生の情熱や中学受験への理解も必要になります。そして何より保護者の方が、主体的に公文と向き合う必要があります。
コメント
我が家は最近公文を始めました。
今回の記事は非常に参考になります!
A~Fごと、難易ごとのペース配分や回転数の目安、更におてう家の事例まで参照させていただけるとは、これはもう公文のHPにリンクを貼るべき記事です(笑)
この1記事だけで公文算数の取組みの勘所が掴めた気がします。
いつもながらありがたいです。
>博士さん
あ、これはうちと全く同じではないです(多分4回も繰り返してないです)
細かく見ていくともっと10枚ごととかで難易の差があるので、完全に理解している指導者の教室でやったら凄そうです。
進度の凄い子が多い教室というのがあるようですが、多分そういうところですかね…。