中学受験の合格者数と言えば御三家
関東の中学受験塾では、大手各塾が御三家の合格者数を競うように発表していきます。

▲早稲田アカデミーの合格実績ページより
私立中学は関東だけでも300校以上ありますし、御三家より難しい学校もあるのに、なぜ御三家ばかりが注目されるのでしょうか?
それには3つの理由があります。
御三家はいずれも伝統校
御三家と呼ばれる中学は、いずれも昔からずっとある学校。昔から今までずっと優秀だったため、あらゆる世代に名前が通じやすいのです。
そのため、塾の合格実績には、御三家の合格者数が一番目立つように記載されます。
その逆に、最近偏差値が上がってきた学校というのもあります。豊島岡、渋谷幕張、渋谷渋谷、広尾学園などを思い浮かべる人も多いと思います。
しかしこちらは最近の中学受験事情を知らない人には良く分からない学校であり、注目度が低いと考えられています。塾側も、合格者数を書いても宣伝効果が低いと考えているようです。
御三家はいずれも有名校
偏差値の上で言うと、男子で最も難しいのは筑波大付属駒場(筑駒)なのですが、開成の方が名前が有名で、筑駒は知らない人が多いです。
大学受験でも、東京工業大学(東工大)は東大・京大の次くらいに難しい大学ですが、あまり知られていないですよね。
実際に難しいのは筑駒でも、開成の合格者数の方が、注目されやすいのです。
同様に灘も、兵庫県の学校なので、関東の人に対する宣伝効果は低いと考えられます。そもそも灘は大阪だと思っている人もいるのではないでしょうか。関西では、灘の合格者数が一番大きく表記されます。
合格者数の重複が起こらない
実は男女御三家の6校は、いずれも入試実施日が2月1日の1回のみとなっています。
例えば開成を受けた子は、麻布や武蔵は受けることができません。
そのため、開成・麻布・武蔵の3校の合計の合格者数が、その塾の優秀層の規模をある程度表すことができます。
いっぽう筑駒は2月3日なので、開成と筑駒両方に合格することが可能です。そのため、例えば「開成・麻布・武蔵・筑駒」の4校の合格者数を合計してしまうと、同じ子が2回数えられてしまうわけです。
女子も同様で、御三家と同程度の難度の学校として豊島岡女子学園がありますが、豊島岡の試験日は2月2日、3日、4日の3回あるため、こちらも同じ子が2回数えられてしまいます。
このように、受験日が2月1日のみという点でも、御三家という括りは重宝されています。
御三家合格者数は塾の優劣を表しているか?
以上のように、御三家合格者数は、優秀層の規模をある程度正確に表す指標となっています。
ただ、それ以下の層についてはどうでしょうか。
ほとんどの大手塾では、一番上のクラスから一番下のクラスまで同じテキストを使って勉強します。御三家合格者数の多い塾はテキストのレベルも高いため、勉強が苦手な子にとっての最善の勉強法とは限らない、という点は各所で指摘されているところです。
塾ごとに得意な層が違いますので、塾選びの際には御三家合格者数よりも授業内容・テキスト内容・宿題の量・通塾距離・拘束時間などをよく見て考えたいところです。

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