全統小受験者数が大幅減
2024年春の全国統一小学生テストの受験者数が、前年比で大幅に減少していることに気づきました。
比較できる範囲では、年長が-22.5%、小1が-28.8%、小3が-19.2%、小5が-14.6%、小6が-12.8%となっています。
低学年ほど大きく減少していることが分かります。
全統小受験者が減った理由
最近数年の受験者数の流れを見てみますと、まず2020年春にコロナで激減。その後、2020年秋からは反動で受験者数が激増し、過去最高になりました。
その後しばらくはほぼ横ばいでしたが、2023年秋に突然前年比で10%超の減少。2024年春は前年比で20%近い減少(推定値)となりました。
一体、何があったのでしょうか。以下、あまり時間が取れていないので若干雑ではありますが、考察していきます。
中学受験ブームの下火による減少?
少子化が進むにつれて中学受験ブームが下火になっている、との観測があります。
しかし全統小の受験者減は、それが主な原因ではなさそうです。
というのも、今年の小6向け模試の受験者数は、-1.9%の微減にすぎないのです。
【速報版】2023年・2024年比較
中学受験関連模試の受験者数を調べました。合不合がやや増えたものの他が減り、4模試合計では昨年と比べて759人減(-1.9%)。
今年度の中学受験者数も、人口減少に伴い微減となりそうです。 pic.twitter.com/CxpFjIPglu— おてう@先取り教育と中学受験2025 (@oteu_bakusou) April 21, 2024
全統小では小6は-12.8%程度ですから、減少率が全く異なることが分かります(むしろ四谷大塚主催の合不合判定テストは受験者が増えています)。つまり、全統小の受験者減は、少子化や中学受験ブームの陰りが主な原因ではないと考えられます。
なお、低学年ほど減りが大きいことに関しては、低学年層の間で中学受験離れが進んでいる可能性も考えられます。(と言っても四谷大塚関連の小4の人数は3年前より今年の方が多いので、現時点ではあまり根拠のない予想ということになります)
事件の影響に伴う減少?
2023年8月に、四谷大塚の講師が盗撮で逮捕される事件がありました。
2023年秋に10%超減少し、2024年春に20%近く減少しているということで、時期も合致します。
しかし前述の通り、事件後も四谷大塚関連の在籍者数は増えています。
どちらかというと事件自体の影響より、事件後に四谷大塚がテレビ等で全統小のCMの頻度を減らした可能性があり、もしかするとそういった影響が大きいのかもしれません。
全統小受験者の人口構成
全国統一小学生テストは、低学年と高学年では受験者の構造が少し異なっています。
3年生までの低学年は、まだ塾に行っている子は少なく、大多数が塾生以外のいわゆる“外部生”です。いっぽう小4以降は、およそ半数程度が四谷大塚や準拠塾(早稲田アカデミーなど)の生徒、いわゆる“内部生”となっています。
そのため、低学年ではCMが減って外部生が大幅に減った一方で、高学年では内部生の大多数が義務的に全統小を受けるためあまり減らなかったのではないかと考えられます。
まとめ
- 全統小の受験者数が前年比-20%程度と大幅に減った。
- 少なくとも小4~小6に関しては、中学受験が大幅に下火になったとは考えにくい。低学年においては、中学受験離れが進んでいる可能性もある(現時点では分からない)。
- 受験者数が減った理由は、CM等での露出が減った、といった理由が大きいのかもしれない。
今後の展望
四谷大塚が大規模に宣伝を再開すれば、全統小の受験者数は増える可能性があります。ただ、今後も少子化は続き、また英語教育やSTEM教育、AI誕生後の新たな教育など中学受験以外の選択肢にも注目が分散することで、中学受験ブームは現在の過熱感からやや下火になっていく可能性があります。そうなれば、全国統一小学生テストを受ける人数も、徐々に減っていくことが予想されます。
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