小学校の先取り教育に対する誤解と本当のメリット

早期教育と先取り教育の違い

今回は幼児~小学校における先取り教育のよくある誤解と、僕の考える「先取り教育の本当のメリット」について書いてみます。

最初に言葉の定義から。

似た言葉で、「早期教育」と「先取り教育」という言葉があります。この2つの言葉は、実は意味が全く異なります。

早期教育というのは、子供の年齢が低い頃から教育をすることを指します。どのくらいからかというと、多くの人が「え、その年で教育は早いでしょ」と思う頃からやれば早期教育です。

昔は幼稚園児に教育をするのは明らかに早期教育でしたが、最近は結構みんな早くからやってるので、幼稚園児に読み書きや足し算引き算を教えるくらいのものは早期教育だと思わない人も多いかもしれません。

いっぽう先取り教育というのは、現在の年齢・学年よりも先のことを教えることを指します。例えば小学校2年生に3年生の内容を教えたら先取り教育です。

なので早期教育の大部分は先取り教育でもあると言えますが、中には早期教育でも先取り教育ではないものもあります。また、小学生の先取り教育は早期教育とは呼べなかったりします。

というわけで、まずは簡単に言葉を定義して、では本題です。

先取り教育に対するメリットの誤解

今日の話題は先取り教育、特に小学校低学年における先取り教育のメリットです。

先取り教育について、世間では多くの誤解があるように思います。中でも一番多いのが「先取り教育をすると頭が良くなる」といった感じのものです。

確かに小学校1年生が6年生の勉強の内容を知っていれば、「おお~すごい」ってなることはあります。

ただそれは単に習ったから知ってるっていうだけの話で、実は別に凄くはないです。

それどころか、小学校1年生に無理に6年生の内容を教えるのは効率が悪いです。1年生は6年生と比べると、知能面だけでなく、体力や集中力も低いので、6年生になった時にやれば一瞬で理解できるものを、たいへんな日数と時間をかけて挑む羽目になったりします。

しかも、せっかく習得しても、割とあっさり忘れてしまうことも。

世間で先取り教育をしている方は、実際にそうなってしまっていることが結構多い気がしますが…。

僕の考えている先取り教育のメリットは、そこではありません。

先取り教育の本来のメリット

そもそも僕は先取り教育というのは、意識的に行うものではなく、結果的にそうなっているものだと認識しています。

小学校や塾などのカリキュラムにとらわれず、子供の興味に合わせて教育をしていくと、自然と本来の学年と異なることを学ぶ機会が出てきます。それが、後になってふと振り返ると、「そういえばこれって小学校だともっと後の学年で学ぶことだったね」と気づくことがあります。これが僕の考える先取り教育の正体です。

子供の好きなことを好きなタイミングで学ばせていくと、子供が楽しく、ストレスなく、また効率よく、物事を習得できるというメリットが期待できます。

ですから先取り教育は必要か不要かとかいう問題ではなく、先取り教育の多くは、子供の興味に応じて、自然に発生しているものだと思っています。

先取り教育では子供が興味がある時に学ぶので効率も定着率も良く、本来それを学ぶ年齢になった時に苦労しなくて済む、というのはメリットになると思います。

先取り教育の「下地」は準備した方が良い

ただ、子供の興味が現学年の学習範囲から逸脱した時に、ある程度の下地がないと、うまく学ぶことができないという状況に直面します。

具体的には、例えば漢字や計算が挙げられます。

まず漢字は、学年を越えて本などを読むのに必要です。対象年齢を超えたおもちゃの説明書を読む際にも必要になります。また、街中で不意に新たな情報を手に入れる窓口を広げるメリットもあります。

いっぽう計算は、物事を教える際に、理屈を教えることが可能になります。例えば計算を踏まえて説明をすることによって、「AはBだよ」から「AがBなのはCだからだよ」と、教える深さが1段階増すことがあります。そうなると子供がそのことにいっそう興味を持つ可能性も高くなります。

なので、先取り教育をする際に必要となる下地は、親が誘導して伸ばしていくと良いと思います。

先取り教育とテストの点数

先取り教育というのは、小学校の現在の学年より先のことをやっているわけですから、現在の学年のテストの成績を上げる効果はありません。従って、周囲から「凄いね~」と言われることはあるかもしれませんが、現学年のテストの点数としては結果に現れません。

テストでいい点を取りたいなら、先取りするよりも、そのテストの出題範囲の部分を集中的に勉強したほうが効率が良いです。

子供の進捗を何で測るかはご家庭次第だと思いますが、テストの点数を基準として子供の「出来」を測りたい場合は、先取り教育はその解決法ではない、かもしれません。

まとめ

場当たり的に書いてきてしまったので、最後に思っていることをまとめます。

  • 子供の興味があることを次々学ばせると、自然と先取り教育になることがある。このような形での先取り教育は、吸収力・定着率が高く、効率が良いというメリットがある。
  • そのような先取り教育をする際に、漢字や計算などが障壁となって思うように学習できないことがある。そこだけは予めやっておけば、先取り教育の幅が広がる。
  • いっぽうで、子供がそんなにやる気のない先取りを無理にやると、知力・体力・精神面等の未熟さから効率が逆に悪くなり、メリットがなくなる。
  • 先取り教育自体には、現学年のテストの成績を上げる効果はあまりない。テストの点数を上げたいならテスト範囲を集中的に勉強するなど、「テスト対策勉強」をしたほうが良い。

具体的に親が何をすればよいかというと、子供に様々なものを見せたり経験させて刺激を与え、その中で好反応だったものを子供のニーズに応じて伸ばしてやる、というくらいの考えで良いのではないかと思っています。

もちろん子供が興味を示さないこともありますので、無駄になってしまった本とかおもちゃもあります。。。

1年生が2年生の勉強をするのは意味があるのか、6年生の受験問題を解くのは意味があるのか、そして中学や高校の内容まで踏み込むのは意味があるのか。その答えは、子供がそれをやりたいかどうかに尽きるように思います。

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