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世の中の「不思議」が子供の想像力を奪う

その不思議は本当に不思議なのか

世の中には、不思議に思える物事がたくさんあります。

しかし、それは本当の意味での不思議なのでしょうか?

現代の科学・技術・知識・経験などを総動員すれば、もはや地球上には人類にとって本当に解明できない不思議なんてそうそう残っていません。

にもかかわらず、世の中の不思議というのはなぜ、今もなお不思議でいられるのでしょうか。

それは、不思議というのが“その人にとって”分からないことだからです。つまり現代において不思議と言われるものの大多数は、人類の叡智を結集しても分からないから不思議なのではなく、その人にとって分からないから不思議である、ということです。

子供にとっての不思議とは

では、子供にとって不思議とはどういうものでしょうか。

子供はまだ知識も経験も少ないので、分からないことだらけです。なので、基本的に全ての物事が不思議となり得ます。その中でも特に自分の直感と異なる結果が得られるものや、理由を大人に聞いても説明できないものなど、一定の条件を満たしたものが子供の心に残る不思議となる、と考えられます。

子供が「不思議」に触れた時、子供がその不思議を頭の中でどのように処理するかというのが、賢い子を育てるうえで結構重要になると僕は考えています。

その「不思議」が「分からないからこそ楽しい」「理由を知りたい・解明したい」という方向に行く場合もあれば、「分からないから理由とかは考えないけどなんか楽しい」という方向に行く場合もあります。

この時、子供の思考ができるだけ前者の方に行くように、僕は常日頃から気を付けています。

不思議を生かすために僕が気を付けていること

まず基本的に、世の中のほとんどのことは理論で説明できる、ということを子供が体感できるように常日頃から気を付けています。

世の中にあまりに不思議なことが多すぎると、子供は新たに不思議なことを見つけても、考えることを停止して「うわあ、不思議だなあ…」くらいの感想で終わってしまうでしょう。考えればわかるという希望があるからこそ「これも考えれば理由が分かるに違いない」と思って不思議の原因を探し始める、という効果に期待しています。

では具体的にどうするかというと、例えば子供が不思議に思ったことを教えてくれて、僕もその理由が分からない時は、その日のうちに調べます。不思議を不思議のままにせず、できるだけ理由に結びつけています。科学館などでも、たくさんの不思議な展示と、その理由の説明があります。

また、理由の説明に高校・大学レベルの勉強が必要な場合は「今はまだ説明できないけど、高2の化学を勉強したら分かるよ」とか「これは大学で専門に学ばないと説明できないなあ」などと答えます。要するに「これは人類にとって不思議なわけではなく、今理解するための知識が足りないだけで、勉強すれば分かることなんだよ」ということを説明しています。

この話の発端

子供が1歳くらいの頃、妻の化粧道具で遊んでいたことがありました。化粧道具を壊されると困りますが、取り上げても機嫌を損ねると思い、子供が一瞬目を離した隙に、つまり子供が見てない時に、それを隠してしまったのですが…。

すると、子供は無くなったのに気づいて「あれっ?」って感じで少し首を傾げ、少しして「まあいっか」って感じで他のおもちゃで遊び始めました。

これを見た時、僕は初めて「これはいけない」と思いました。要するに、目の前に起きた不思議をスルーしてしまった、と考えたのです。そこから”子供にとっての不思議”を大事にしようと考え始めました。

世の中の不思議に出会った時に、「不思議だなあ」で終わらせず、その理由を追究する習慣を持った子供に育てたいと思っています。

コメント

  1. おてうさん

    最後の段の気づきのプロセスは凄いですね。
    多分、おてうさん自身が疑問をスルーしない思考回路が出来上がっているから気づくのでしょうね。

    私が東大生や京大生とそれ以外の大学生の違いで最も差が大きいと思うのは、受験勉強の内容以外の雑学などの知識の豊富さです。
    おそらくこれは、日常の中で疑問を持つ頻度とそれをキチンと調べたり確認したりする頻度の差ではないかと思っています。
    やや偏見かもしれませんが、某旧帝大の学生は概ね真面目でいわゆる勉強は出来るのですが、習わない知識に関する量が少ない気がします。

    またおてうさんのお子さんが算数数学を自らの興味で先に進ることが出来ている様子も、なんとなくこういう疑問を楽しむというか、わからないことが分かるという楽しみ方が出来ているからだろうと思って拝見しております。
    同じ早期学習でも、親が一方的強制的に詰め込むばかりでは、先々で行き詰るかもなあと思っており、私も出来るだけそうならないようにヒヤヒヤしながら日々の学習に当たっています。

    毎度参考になります。

    • >博士さん
      いつもコメントありがとうございます!
      疑問をスルーしないというのは確かにそうですね。子供もそうなって欲しいと思います。
      算数については、最近はそんなにブームでもないようです。まあ子供はすぐ気が変わりますよね…。笑