2023年キッズBEE・ジュニア算オリの感想
2023年のキッズBEE・ジュニア算オリの問題を見ての、個人的な感想です。
キッズBEE
問題1,3,6はキッズBEEらしい良問だなあと思いました。どれも後々まで語り継がれると思います(塾とかで改題して出題されまくるとも言える)。
問題2は最近続いている「全く新しい趣向だけど解ければ簡単な問題」。去年は迷路、おととしはシャーペンの芯でした。対策できない問題はいいですね。
問題4が難しすぎて驚きました。四谷大塚・早稲田アカデミーでは6年生でやる内容です(予習シリーズ6年上巻P128)。(2)はおそらく中学受験勉強中の6年生に解かせても正解できない子が多数だと思います。
問題5では、線分図を描いて解くのが良いと思うのですが、線分図を描くのに十分なスペースが無いのが残念。
今年は全般的に余白が少なかったです。去年よりページ数が少なく、また文字が一回り大きくなっているためだと考えられます。1~3年生という学年を考えると、小さなスペースに工夫して文字を書くといった技術はまだ難しく、かなり解きにくかったのではないでしょうか。
ラストの問題7・問題8の2問に簡単な問題が来ていたのも新しいサプライズでした。最近のキッズBEEでは難問が後に来る形式が続いていましたが、そこへ急に最後に簡単な問題が来ると、(これで本当にあってるのかな…)と悩んで時間を無駄にしてしまうなど、算数以外の部分が出てきてしまうのが心配です。但し文章の長い8番を最後に持ってきてあげるのは優しい配慮であり、ありがたいと思います。
平均点と決勝ボーダー予想
2023年のキッズBEEは、平均点は50~55点、決勝ボーダーについては65~70点付近と予想します。
アンケートの結果によると、問題1,2,7,8は正解率75~90%程度、問題5,6が正解率30%程度、そして問題3、4が20%以下、と難易がハッキリ分かれました。ファイナル進出点は、問題1、2、7、8を全部取って50点を確保したうえで、問題3、4、5、6の難問4つのうちいくつ取れるかの勝負になったのではないでしょうか。
ジュニア算数オリンピック
ジュニア算オリの最大の事件は何と言っても、過去問と同じ問題が出たことです。
2023年の問題7が、2012年の問題9と同じものでした。(1)で20番目を聞くところまでは全く同じで、(2)は過去問より易しい部分を聞いて来ます。
2012年の正解率は5.0%となっていますが、今回は易しい部分が聞かれた(2012番目より2023番目の方が分かりやすい)こともあり、正答率は上がると思われます。
それ以外を順番に見ていくと、まず問題1は開催日の6月11日「611」が47×13と2つの素数で表せることを利用した出題でした。開催年の2023=7×17×17を対策していた子は多いと思いますが、対策をかわしつつ同じ趣向の出題をするという点が美しく感じました。
同様に問題4も、今度は365を2つの平方数の話で表す方法が2つあるという、「よく知ってる数が意外な性質を持っているという驚き」を得られ、算数好きな子が楽しくなる良い問題だったと思います。
問題2と問題5のパズルは、適当にやってもまず正解できないような配置になっており、しかし理詰めで見ていけば奇麗に解ける、という算数力を問うのにふさわしい上手い問題だなと思いました。
今年は図形問題が問題3,6,9にあったのですが、ジュニア算オリでおなじみの難問とは方向性が違うものでした。図形が苦手な子は助かったのではないでしょうか。問題6は本来キッズBEEに出題されそうな内容ですが、形状がやや複雑なのでジュニア算オリにコンバートされたのかもしれませんね。
問題10の「電卓押し忘れ問題」も、子供はどこかで見た覚えがあると言っていました。調べてみると確かに2019年に市川中学で出ており、また、それより昔にもどこかのテキストに載っていたようです。
それ以外では、毎年恒例だった虫食い算が無くなりました。虫食い算に関してはコロナで自宅開催になった2020年を除けば第1回からほぼ毎回出ていた(ような気がする)ので、大きな変化を感じます。
また、ジュニア算オリはほぼ全てのページで見開き右半分が丸々余白になっており、問題を解きやすいなと思いました。キッズBEEもこの形式にしてほしいですね。
さて最後にジュニア算オリの平均点と決勝ボーダーですが、平均点は40点前後で、決勝ボーダーは55~60点付近、という感じではないかと思います。
アンケートの結果によると、今回は問題1・2が簡単で、問題6が正解率50%程度、他は全て正解率20~30%程度の難問だったようです。数ある難問の中から自分の得意な問題を取れば決勝に行けるという意味では、かなりバランスの良い問題セットだったと思います。
平均点と決勝進出ボーダーの算出根拠
昨年同様、皆さんからのアンケートを基に、補正をした正解率を使っています。
また決勝ボーダーは、予選参加人数・決勝進出人数が去年と同じと仮定し、過去の平均点と決勝ボーダーの関係から予想しています。
なお今年は選択肢を適当に選んで偶然当たる問題が少ないため、去年のキッズBEEほど大規模な「部分点」による平均点・ボーダーの押し上げは発生しないと思われます。
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