9月入学で1学年が1.4倍にならない代替案とメリット・デメリット/9月入学反対?賛成?

9月入学で1学年が1.4倍にならない代替案について

前回、「9月入学で1学年が1.4倍になってしまうと大変なので9月入学反対」という記事を書きました。

「9月入学」反対!来年の小1の人数が1.4倍になるデメリットの指摘
9月入学のデメリットを聞いてほしい 追加記事: 学校のコロナ休校の長期化が懸念される中、「入学・進級を9月にしてしまえばいいのではないか」という...

この記事に対して、多くの反響をいただきありがとうございました。記事に頂いたコメントも参考にさせていただきながら、今回は9月入学実施に関する代替案について書かせていただきます。

9月入学の3つの案

9月入学を実現する際、現在小1以下の子の学年を分ける方法として、大きく以下の3つの方法が考えられます。

  1. 現在未就学の子の学年の区切りを9月に変える
  2. 年の区切りは4月のままで、入学だけ9月入学にする
  3. 毎年1カ月ずつずらしていく
※9月入学を実施する場合も、既に小1以上の学年については、学年の編成変更無いと思います。お友達と別の学年になってしまうということはなく、全員一律で5カ月留年になると思われます。

この3つはそれぞれ異なるメリット・デメリットを持っています。9月入学について議論する場合、どの方法で実現させるかを考えないと、あまり実のある議論は期待できないのではと思います。

そこ今回は、この3つの案の詳細と、メリット・デメリットを順番に見ていきます。

今回の記事は、9月入学を実施する場合にどこで学年を分けるかに関するメリット・デメリットをまとめています。9月入学を実施する場合としない場合のメリット・デメリットを比較しているのではない点にご注意ください。

ある年から区切りを9月に変える

これが前回記事にした案です。

「9月入学」反対!来年の小1の人数が1.4倍になるデメリットの指摘
9月入学のデメリットを聞いてほしい 追加記事: 学校のコロナ休校の長期化が懸念される中、「入学・進級を9月にしてしまえばいいのではないか」という...

ある年から学年の区切りを9月に変えてしまうと、現在未就学の学年のうちどこかで、17か月分の子が押し込まれ、人口が1.4倍になってしまう学年が誕生します。

【例:2021年に小1から9月入学を適用】

  • 2019年4月入学:2012年4月~2014年3月生まれ(約100万人…12か月分)
  • 2020年4月入学:2013年4月~2014年3月生まれ(約100万人…12か月分)

======ここで9月入学を実施======

  • 2021年9月入学:2014年4月~2015年8月生まれ(約140万人…17か月分)
  • 2022年9月入学:2015年9月~2016年8月生まれ(約100万人…12か月分)
  • 2023年9月入学:2016年9月~2017年8月生まれ(約100万人…12か月分)

そうなると、その学年だけ教職員の数や教材の数が不足したり、将来的には受験や就職の倍率が著しく上昇してしまう、というデメリットが生じます。

また、その1つ下の学年が強制的に半年飛び級になってしまうという現象も発生します。

例えば2014年4月~2015年8月生まれの子が2021年9月入学になる場合、2015年4月~2015年8月生まれの子(現在年中の子のうち半分)は、年長を2021年4月~2021年8月までの5カ月しか経験せずに小1になってしまいます。

年の区切りは4月のままで、入学だけ9月入学にする

生まれ月が8月/9月で分けることなく、これまで通り3月/4月で分けるという案です。

例えば2021年9月から9月入学を実施する場合、2014年4月2日生まれ~2015年4月1日生まれまでの子が小1になります。

つまり、もしも9月入学を行わなければ2021年4月に小1になる子たちが、9月入学によって9月に小1になります。

年の区切りを4月にする9月入学のメリット・デメリット

この方法のメリットは、1学年の人口が1.4倍にならないことです。強制的な留年や飛び級も発生しません。

しかしデメリットもあります。それは、学び始めが丸々5カ月遅れてしまう点です。

現在日本の子供は6歳~6歳11カ月の時に小1になりますが、9月入学の案2になると6歳5カ月~7歳カ月の時に小1になることになります。

【例:2021年に小1から9月入学を適用】

  • 2019年4月入学:2012年4月~2014年3月生まれ(就学時6歳~6歳11カ月)
  • 2020年4月入学:2013年4月~2014年3月生まれ(就学時6歳~6歳11カ月)

======ここで9月入学を実施======

  • 2021年9月入学:2014年4月~2015年3月生まれ(就学時6歳5カ月~7歳4カ月)
  • 2022年9月入学:2015年4月~2016年3月生まれ(就学時6歳5カ月~7歳4カ月)

学習指導要領を改訂して対応できるというご意見もあるのですが、教科書は12年に一度の大改訂を今年経たばかりだそうですし、改訂には保育園で指導できるのか、園に入らない子をカバーできない、などの懸念・デメリットも考えられます。

学年の区切りを毎年1カ月ずつずらして9月入学に対応する

例えば小1から9月入学を実施する場合、以下のような方法を取ります。

【例:2021年に小1から9月入学を適用】

  • 2020年4月入学:2013年4月~2014年3月生まれ(12か月分)
  • 2021年9月入学:2014年4月~2015年4月生まれ(13か月分)
  • 2022年9月入学:2015年5月~2016年5月生まれ(13か月分)
  • 2023年9月入学:2016年6月~2017年6月生まれ(13か月分)
  • 2024年9月入学:2017年7月~2018年7月生まれ(13か月分)
  • 2025年9月入学:2018年8月~2019年8月生まれ(13か月分)
  • 2026年9月入学:2019年9月~2020年8月生まれ(12か月分)
  • 2027年9月入学:2020年9月~2021年8月生まれ(12か月分)

上の青い太字にした5年間が移行期間です。この間は毎年13か月分の子供が小1になります。

9月入学の適用が小1からなのか、幼稚園・保育園からなのかという議論はあると思いますが、ここでは小1から9月入学を実施する例を挙げました。

9月入学で1カ月ずつずらしていくメリットとデメリット

この方法のメリットは、前述の2つの案のデメリットをカバーしている点です。つまり、

  • 1つの学年に17カ月分の子が押し込まれて人口が増大することがない
  • 学びが5カ月遅れることがない

というメリットが期待できます。

いっぽうで考えられるデメリットは、生年月日と学年の対応が直感的に分かりにくく、混乱を生じるという点が挙げられます。

また、会計年度(現在は3月締め・4月はじまりの会社・機関が多い)など日本の全ての仕組みを9月入学に合わせることが検討されているため、この複雑な5年間の年度移行を日本全体に課すのか?という疑問も出てきます。

個人的な見解や感想など

前回の記事へのコメントやSNSなどで「こうすれば9月入学は簡単じゃないか」といって上記の案を提示していただくご意見をいくつかいただきましたが、個人的にはいずれも「簡単」ではなく、メリット・デメリットを洗い出し、専門家の間でも世間でもよく議論され、吟味される必要があるように思います。

前回の記事を書いた時点では、議論の中心は受験生や高学年の心配ばかりで、未就学児へのデメリットについてはほとんど俎上に載せてもらえていませんでした。今でも例えば「9月入学によって保育園の入所タイミングが変わると産休期間内に職場復帰できなくなる人がいる」など、無数のニッチなデメリットにほとんどの人が気づいていないと思います。

私はまだまだ9月入学に関して議論が足りていない(どうすると誰に何が起きるのか、といったメリット・デメリットの情報からして出揃っていない)状況だと思っています。

未就学児を育児中の方の多くはコロナ禍で日々忙しく、また疲弊しており、声をあげる余裕もないという状況だと思います。政治家の皆さんにはぜひ、こういった声をあげられない層にも目を配り、9月入学によって起こるメリットとデメリットの双方を徹底的に洗い出して、国民の皆さんに提示していただけたらと思います。

こちらも参考になります↓
にほんブログ村
にほんブログ村 受験ブログ 中学受験(本人・親)へ

コメント

  1. 前回の記事、興味深く拝見しました。

    筆者様のおっしゃる通り、教育は1つの電車のようにひと続きになっており、後ろにシフトすることはどこかで歪みが生じます。今ある学年を分断されたり、待機児童として入園ができない子がでることもありますし、そうなれば復職できない人も出てきます。またいまギリギリの人員や教室で運営している日本の学校にとって、教育自体の質を落とすことにもつながります。いま生まれている子をそのままシフトするというのも、いずれ周回遅れを解消するために授業を詰め込んで学年を持ち上げるようにすることになるでしょう。

    私は、正直、この9月入学は必要ないと感じています。国際化のメリットには根拠がなく、問題は別にあると考えています。このまま学年がシフトしても、日本の学年主義、学歴主義、雇用習慣が変わらなければ意味がないと思うからです。

    それならば、混乱するだけの9月入学より、今のままでどう遅れの問題をクリアするか考えるべきです。すでに学校が始まっている地域も多いですから、お休みを減らしたり、次学年でのフォローをすれば、追い付けると思います。最高学年の優先登校や、第2・第3波に備え最高学年やリスクの高い首都圏を優先的にICT化の準備、それでも間に合わない場合は最高学年については、未履修でも卒業を許可し、受験の出題範囲を狭める。ほら、以前、世界史の未履修問題があったじゃないですか。あのときの様に、卒業後も履修を認める。

    我が家にも、最高学年の子供が居るので、思い出づくりの事を考えると3月で終わりを決められると可哀想な気もしますが、5ヶ月伸ばしたところで行事が出来る保証もなく…そこは同窓会のような形で、来年、フレキシブルに対応したらよいのではないかと思っています。

    今年の最高学年の子供達は、本当に可哀想だと思いますが、人生として与えられた時間としてはみんな同じです。私達は、この先またなんらかの災害にあうかもしれません。それならば、多額の費用と労力をかけてまで下の学年の子供達に犠牲を強いてるより、まずは今を乗り越えることの方が大切だと思っています。

    • >ひよかんさん
      ご意見ありがとうございます!
      災害や就職氷河期など、どうしても苦労する学年というのは出てきてしまいますよね…。
      今年の最高学年はかわいそうだったり大変だと思います。
      9月入学あり無しに関わらず、国の方でもケアしてあげて欲しいですね。

  2. 年中児の子を持つ母です。いつも拝見しております。

    現在議論されている9月入学には反対です。
    未就学児(特に特定の学年)の犠牲前提で話が進んでいることに違和感を覚えます。

    もちろん慎重に議論を進めた上で、5年10年かけて移行していくのであれば9月入学でも良いと思っています。
    おてうさんが最後に記載されているように保育所入所のタイミング等を考えて妊活されている方もいると思いますし、
    なるべくダメージが少ない移行を考えるのであれば、早くても再来年度生まれ以降からの適用等とする必要があると思っています。

    そもそも9月入学で学習の差が埋まるのか疑問ですね。
    勉強しない子はしないでしょうし、家庭学習進めている子は進んでいますしね。
    素人意見ですと、9月入学是非の前に全国的なオンライン学習の検討+家庭科や体育等の教科内容見直し等をまず行い、今年の入試をどうするか早々に決めてあげて欲しいです。

タイトルとURLをコピーしました